「配当」という株式投資の魅力

新しい年を迎え、今年こそは株式投資を始めてみようと思っている人も多いことでしょう。この連載はタイトルの通り、「お金をどうやって育てていくか」をテーマに主に投資未経験者や初心者向けに記事を書いています。株式投資というと、買った株の株価が上がった下がったで、投資したお金が増えたり、減ったりするものとだけ思っている人も多いようですが、実は株式投資にはそれ以外にも利益を得る方法があります。今回は「配当」について詳しく学びましょう。


株式投資で得られる利益にはいくつか種類がある?

株式投資をして利益を得るためには、安く買って高く売る必要があります。

たとえば、A社の株価が100円の時に買い、120円の時に売れば、20円の利益が得られます。もちろん、売買には手数料や発生した利益には税金がかかるため、20円がすべて手元に入る訳ではありませんが、株式投資で利益を得るメカニズムは単純なものです。取引によって買付金額と売却金額の差分で得る利益をキャピタル・ゲインといいます。

実はそれ以外にも株式投資で得られる利益があります。それは「配当」と呼ばれる投資先の企業から株主に対して払われるお金を指します。ある時点で株主名簿に名を連ねておけば、企業から配当金が支払われるのです。

たとえば、B社の株を買ったとします。株価が100円の時に買い、1年後も100円だったとすると、この時点で売ってもキャピタル・ゲインは発生しません。しかし、保有していた1年の間で、B社が株主に対して1株あたり5円の配当を払ったとすると、キャピタル・ゲインは得られていませんが、5円の利益が発生したことになります。配当で得る利益をインカム・ゲインといいます。

これ以外にも、日本では企業によって株主優待を用意していることもあり、その企業の商品や食事優待券など、企業毎に様々なものを送ってもらえます。

配当について詳しくなろう

配当について、もう少し学んでいきましょう。先ほど、「ある時点で、株主名簿に名を連ねておけば、企業から配当金が支払われる」と書きましたが、詳しく言うと、権利確定日(一般的には決算日と同じ日)に株主名簿に名前を登録されていると配当はもらえます。しかし、権利確定日に株を買っても間に合いません。権利確定日の2営業日前までに買う必要があります。この権利確定日の2営業日前の日を「権利付き最終日」といいます。その翌日、つまり権利確定日の1営業日前は「権利落ち日」といいます。

配当金は一般的に権利確定日から2~3ヵ月後に支払われます。配当金は受け取り方法を選択できます。株式数比例配分方式であれば、証券会社の口座に振り込まれます。配当金領収証方式だと、郵送されてくる配当金領収証を郵便局などに持っていって受け取り、登録配当金受領口座方式であれば、指定した銀行口座などで受け取れます。

また、配当にも税金はかかります。配当金に対しての源泉徴収税率は、合計20.315%(所得税および復興特別所得税15.315%、住民税5%)で、取引で得た利益にかかる税率と同じです。

配当に関する指標を理解しよう

これまで、株価や企業業績に関する指標を学んできましたが、配当にも2つの指標があります。まず1つ目は「配当利回り」です。配当利回りというのは、「1株あたりの年間配当金額÷株価」で算出できます。

先ほどの例を用いて、B社の株価が100円で、1株あたりの年間配当金額が5円だとすると、配当利回りは5%になります。

当然、この数値が高い方が配当を重視する投資家にはよさそうに思えますが、企業の不祥事が発覚したり、業績悪化が予測され株価が下がると、結果的に配当利回りの数値が上昇することがあります。そのため、配当利回りだけを見て判断するのは危険なので、他の数字やニュースもあわせて確認しましょう。

配当は基本的に会社が売上高から原価や人件費など全ての費用を払い、残った利益に税金がかかり、税金を引かれ終わった残りのお金から払われます。この仕組みを知っていると、配当利回りの指標だけで判断することが危険な理由が分かります。

たとえば、B社は今年利益が一切出なかったものの、配当利回りは維持したいと、配当の原資としてこれまで貯めこんでいた現金から払ったとしましょう。すると、配当利回りには変化は生じませんが、会社自体は保有していた現金が減ってしまいます。

そこで、「配当性向」という指標が登場します。配当性向は、「1株あたりの年間配当金額÷1株当たりの利益」で算出できます。会社が事業を通して得た利益から、どの程度を配当として株主に還元しているかを示す指標なので、他社との比較にも使用が可能です。

制度は有効活用すべし!

これが配当に関する必要な知識です。新たに株式投資を始める方は、どの企業の株価が上がりそうかの観点だけでなく、配当の観点でも銘柄探しをしてみてください。そして、投資する銘柄が決まったら、ぜひNISA(少額投資非課税制度)を活用してみてください。キャピタル・ゲインやインカム・ゲインには税金がかかりますが、NISA口座の投資枠内で投資をした場合は税金がかかりません。制度の活用といわれると難しく聞こえるかもしれませんが、利益が非課税になるメリットはとても大きなものです。

2020年も学びながらお金を育てていきましょう。

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