7つある福井県の伝統工芸品の1つ『越前漆器』。
その概要、歴史などについてご紹介します。
越前漆器とは
主に福井県鯖江市の河和田地区で作られている漆器で、昭和50年に伝統工芸品に指定されました。(伝統工芸品とは?)
また、ホテルやレストランなどで使用される業務用の漆器において、全国で80%ものシェアを獲得しています。
越前漆器の歴史
越前漆器の歴史は、1500年以上前にまでさかのぼります。
第26代継体天皇が今立郡味真野(現在の越前市)に来た際に、河和田の職人に冠の塗り替えを頼みました。
その際、職人が冠と一緒に手塗の黒塗の椀を献上し、その出来栄えに感動した継体天皇が漆器づくりを奨励したことが始まりと言われています。
さらに、江戸時代から明治時代頃には漆掻き職人が全国をまわり、最盛期には全国の漆掻きの半数が福井(越前)の人間だったとされています。
日光東照宮建立の際には、徳川幕府が福井の職人に対して漆液の採集を命じたんだそうです。
越前漆器の技法
越前漆器は分業で作られており、工程ごとに、木地師、塗師、蒔絵師、沈金師といった熟練の職人さんがいます。
その工程や技法を鯖江市の『うるしの里会館』でお勉強してきたので、ちょっとだけご紹介します。
木地製作
伝統的な漆器は木製なので、まずは木を削って形を作ります。
塗り
塗りは下塗りと上塗りの作業で分業化されています。
素地(木地)に柿渋、地炭粉、松煙を塗り、砥ぐ『渋下地造り』を経て、生漆に地の粉、米のり等を混ぜ合わせたものを繰り返し塗る『地の粉下地造り』を行います。
その後、精製うるしを使って『花塗』や『ろいろ塗』といった上塗りをします。
加飾(蒔絵・沈金)
金や銀などで装飾をする場合もあります。
蒔絵(まきえ)は漆を含ませた筆で模様を描いたところに、金・銀粉などを蒔き、研ぎ・磨きを繰り返す技法。
一方沈金は刃物で絵柄を彫り、そこに金・銀粉などを漆で定着させる技法。
どちらも漆器の代表的な加飾技法の一つです。
越前漆器のまち・鯖江市河和田
少しでも越前漆器に興味を持ったら、福井県鯖江市の河和田地区を訪ねてみませんか?
河和田は、鯖江市の東部にある、人口4,400人ほどの山あいの集落です。
自然豊かなこのまちには、鯖江市の三大地場産業でもある眼鏡、漆器の工房・会社がずらり。
『漆器』『うるし』などの看板が次々と目に入ってきます。
少し歩くだけで、職人さんの息づかいまで感じられるような気持ちに…。
最近では、デザイナーや作り手志望の若い人も続々と移住しており、伝統工芸品と現代風のデザインを掛け合わせた新たなプロダクトも続々と生まれています。
また毎年秋には、工房が一般に公開されたり、体験型ワークショップ、トークイベントなどが楽しめるものづくりの祭典『RENEW』が開催されるので、そちらもおすすめです!
越前漆器を知る・見る・体験するなら『うるしの里会館』
河和田にある『うるしの里会館』には、越前漆器の作り方展示や見学が出来る工房、体験スペース、ショップなどがあります。
沈金や拭き漆、絵付け体験もできるので、世界で一つだけの越前漆器をお土産にできますよ。
インテリアやアクセサリーにも
越前漆器はお椀や器だけではありません。
最近は漆を使ったアクセサリーやインテリアアイテムも登場しています。
以下の記事では、越前漆器の技術を使ったおしゃれプロダクトのご紹介もしています。