BTCC:2台体制に拡大のインフィニティがラウンチ。トム・チルトンはホンダ陣営へ

 毎年恒例となるイギリス最大のモータースポーツの祭典、ASIオートスポーツ・インターナショナルが1月10~12日にバーミンガムで開催され、現地でBTCCイギリス・ツーリングカー選手権に参戦する多くのチームが2020年の参戦体制を発表。2020年から2台体制へと拡大する『インフィニティQ50 BTCC』(日本名:スカイライン)を走らせるレーザーツールズ・レーシングは新メインスポンサーを含むラウンチを開催し、元WTCC世界ツーリングカー選手権経験者のトム・チルトンは、ホンダ陣営のBTCレーシングへの移籍をアナウンスするなど、多くの動きがあった。

 2015年にワークス参戦したインフィニティQ50の機材を購入し、2019年シーズン中盤にメルセデス・ベンツAクラスからのスイッチを断行したレーザーツールズ・レーシングは、今季からエイデン・モファットの僚友として2017年シリーズチャンピオンのアシュリー・サットンを迎えることを発表済みだった。

 今回、ASIの会場では新たなメインスポンサーに保険会社のRCIBインシュアランスが就くことを発表すると同時に、2020年仕様インフィニティQ50のカラーリングをお披露目した。

 このRCIBはモファットを長年サポートしてきた実績に加え、サットンがチームBMRのスバル・レヴォーグGTでBTCCタイトルを獲得した際にもパーソナルスポンサーとして名を連ねており、過去2シーズンはAmDチューニング.comチームのタイトルスポンサーを務めてきた。

「チームおなじみのカラーリングにRCIBのオレンジがプラスされたことで、個人的にはとてもスマートな印象になったと思うよ」と、2020年マシンの印象を語ったサットン。

 成功を収めたスバルUKとの4年間にわたるファクトリープログラムが終了したチームBMRは、この2020年からレーザーツールズ・レーシングとジョイントすることを決断。両チームが共同開発体制で仕上げた最新NGTC規定のインフィニティQ50について、サットンは「2度目のタイトル獲得に挑む上で、正しいパッケージになるはずだと確信している」と自信を見せた。

「2020年に向けてとてもワクワクしているんだ。タイトル獲得後は散発的な勝利を掴みながらも、タイトル争いには加われない苦しい時期も経験した。だから大幅アップデートが施されたこの新型FRマシンで、トラックに出て行くのが待ち遠しくてしかたないんだ」と続けるサットン。

「昨年の秋、チームに要請されて旧型モデルをスネッタートンで走らせた。たった3セッションのみだったけど、そのプライベートテストの時点ですら、スバル・レヴォーグGTからスイッチできるだけの手応えを得ていたんだ」

新たにRCIB Insuranceがメインスポンサーに就任し、CIカラーのオレンジがアクセントに入れられた
BTCレーシング残留をアナウンスしたジョシュ・クックに続き、トム・チルトン加入が決定
「BTCは比較的若いチームだが、彼らの態度とプロ意識に感銘を受けた」と語ったトム・チルトン(中央)

「その時点で2014年仕様のままだったクルマは、わずかな改良を経ただけでシーズン後半戦にエイデン(・モファット)をシルバーストンの表彰台まで押し上げた。チーフエンジニアを含めBMRのメンバーは一緒だし、BMRのエンジニアリング部門とレーザーツールズ・レーシングの開発能力を合わせれば、トップグループで争える要素しか見当たらないよ」

 また、2019年ドライバーズランキング4位、シーズン3勝のジョシュ・クックとの契約延長を発表していたBTCレーシングは、過去2年間フォード・フォーカスRSで戦った元WTCCドライバーのトム・チルトン獲得を発表。チルトンはモーターベース・パフォーマンスから心機一転、FK8型ホンダ・シビック・タイプRのステアリングを握ることとなった。

「昨年、チームは本当に印象的な仕事をしていた。初投入のマシンで総合4位、インディペンデント2位の戦績を残したんだからね。テストが待ちきれないよ。僕自身、ホンダとは素晴らしい歴史があるし、再びホンダのマシンをドライブできることを光栄に思っている」とチルトン。

 さらに、BTCレーシングは今季から3台体制に拡大するのに合わせて、最後のドライバーに元チームHARDでフォルクスワーゲンCCをドライブしたマイケル・クリースの加入をアナウンス。その他、メルセデス・ベンツAクラスで戦うシセリー・モータースポーツは体制不変で、アダム・モーガンと2年目のダニエル・ロウボトムの残留を発表した。

 そして元F1ドライバーのマーク・ブランデル引退に伴い、チーム内での体制変更やスライド移籍をアナウンス済みのAmDは、旧式のMG6 GTで2019年からシリーズに参入したエクセラー88モータースポーツに所属したサム・オズボーンとの契約を発表。ジェイク・ヒルとともに、もう1台のFK2シビックを託すことを決めた。

 またAmDのセカンドチーム的存在となるトレード・プライス・カーズ・レーシングのアウディS3セダンBTCCには、こちらもチームHARDから移籍のボビー・トンプソンに加えて、元英国MINIチャレンジ王者で、2008年のブリティッシュGTチャンピオンでもあるジェームス・ゴーナルが加入。

 そして、今季から最新型となる『ヒュンダイi30ファストバックNパフォーマンス』を投入するエクセラー8のリードドライバーには、スバル撤退の余波でシートを失っていた21歳のセナ・プロクターが就任することも決まっている。

アウディS3セダンBTCCを走らせるTrade Price Cars Racingは、ボビー・トンプソン(中央)に続きジェームス・ゴーナル(左)が加入
2019年インディペンデント王者のロゴが誇らしいAmDのFK2シビックは、ジェイク・ヒルが引き継ぐ
MG6 GTから最新の『ヒュンダイi30 Fastback N Performance』にスイッチするExcelr8には、セナ・プロクターの加入が決まった

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