五島・長手町敬老会 19日に100回目 大正から脈々と

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敬老会で芝居を披露した青年団員たち。1940年前後に撮影されたとみられる(野端チヨ子さん提供)

 長崎県五島市長手町の敬老会が19日、100回目の節目を迎える。大正時代に始まり、昭和、平成、令和と受け継がれる地元の一大行事。住民総出で芝居や踊りなどを披露し、地域の礎を築いた古老の長寿を祝ってきた。その歩みを知る住民に、記憶をたどってもらった。

 「昔は、孟宗竹(もうそうちく)で大きな芝居小屋を組んでね。本当に盛大な会だった」。長手町で生まれ育った元市議会議長の中尾剛一さん(83)は、華やかに繰り広げられた敬老会の様子が目に焼き付いている。
 芝居を披露したのは地元の青年団員。島外から招いた師匠が団長宅に1カ月ほど泊まり込み、稽古を付けた。「三番叟(さんばそう)」や「清水次郎長」など演目はさまざま。少年時代の中尾さんは毎晩、団長の家に行き、練習風景をのぞき見るのが何よりの楽しみだったという。
 会は、数えで75歳以上の住民を対象に、毎年1月に開催している。中尾さんは10年前、「敬老者」の仲間入りをした際に歴史を調べた。それによると、45回目までは青年団が主催したが、団員減少に伴い、70回目までの25年間は青年団と婦人会が共催。平成以降の30年間は長手町内会が引き継いできた。物資の乏しい戦時中も開催。祝い事に欠かせないアルコールを何とか提供しようと、青年団員がさまざまな手段を駆使して焼酎を手に入れていたという。
 長手町に生まれ育った人にとって、敬老会への参加は最高の喜びであり目標となっている。かつて芝居で茶屋の娘役を演じたこともある野端チヨ子さん(93)は、今では敬老者の中でも年長に当たる。「出し物を見たり、みんなでわいわいおしゃべりしたり。朝から一日中楽しい」と毎年楽しみにしてきた。
 中尾さんは「敬老会が長手の生活の一部となり、100年も続いてきたことが地域の誇り。先輩たちを慕い、敬う気持ちが地域の絆を強めている」と語った。
 100回目の敬老会は19日午前10時~午後2時半ごろ、長手スポーツセンターで開催。今回の敬老者は数えで103歳までの73人で、地元の小学生らが踊りや寸劇、ダンスなどを披露する。