インド留学の諫早高生・山邊さん「自分の足で立ち、生きる」 経済成長、カースト制の考え方学ぶ

「日本から来たよ」「刑務所通りの近く?」―。スラム街の子どもたちと交流する山邊さん(左から2人目)=山邊さん提供

 長崎県諫早市出身の高校2年生、山邊鈴さん(17)は、昨年7月から1年間の予定で、インド北西部のマハーラーシュトラ州ナシークにある高校に留学している。国土も人口も日本の10倍以上といわれるインドの経済成長や、ヒンズー教のカースト制に基づく現地の考え方を学ぶ狙いだ。

 山邊さんは、県立諫早高付属中から諫早高に進学。非政府組織(NGO)「国境なき子どもたち」主催の「友情のレポーター」に選ばれ、フィリピンのスラムで暮らす子どもを取材した経験を持つ。
 インド留学を志したのは、多くの日本人が選ぶ国ではなく、価値観も習慣もまったく異なる国で「自分の足で立ち、生きていく軸を探したい」と思ったからだ。
 昨年7月から1年間、諫早高を休学し、インドで長い歴史がある進学校、K.T.H.Mカレッジの理系特進クラスに留学。全校生徒2千人中、唯一の外国人で、現地の言語、マラーティー語で意思疎通する。
 インドで暮らし半年余り。経済が急成長を遂げる一方で、スラム街が各地に残るなどの貧富の差を目の当たりにしてきた。友人たちは「核兵器は必要」と言い切るが、日本のアニメーションへの興味はある。家族の結束が強い半面、時間を守る概念がないなど、独特の風習に驚きながら、新鮮さも楽しんでいる。
 今は学校生活の傍ら、スラム街の子どもたちとのファッションショー作りに奮闘。将来は、海外の大学進学を経て、世界の最貧困層に関わる事業を立ち上げる夢を抱く。
 「さまざまな怒りや喜び、悲しみが同時に存在する環境でもまれる中で、自分が大切にしたい芯をより確固なものにしたい」

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