台風19号の爪痕...水路被災で作付け『暗雲』 業者も手いっぱい

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社川(右)が決壊し、隣接する一帯の水田(左)が水没した=2019年10月13日・白河市表郷地区

 昨年の台風19号で農業用水路が被災し、今年のコメの作付けへの影響を懸念する声が農家から上がっている。被害があった市町村は復旧のための手続きを進めているが、作付けの時期に間に合わないかもしれないとの不安があるためだ。各市町村を支援する県の担当者は「大規模な面積で作付けできない事態は避けたい。やれることは精いっぱいやる」と対応を急いでいる。

 崩落や土砂堆積などにより水路など590カ所が被災した田村市。市農林課の担当者は「今春の作付けには間に合うよう急ぎたいが業者も手いっぱいな状況。間に合わない場所も出てくる可能性はある」と話す。

 「(水路復旧を)待っていたらコメ作りはできない。できることをやっていく」と話すのは、同市の常葉町と船引町の農家らでつくる西向水利組合の佐久間正組合長(71)。組合員が農作業する同市常葉町周辺の田んぼ約30ヘクタールは、水路が所々で崩壊するなどの被害を受けた。「簡単には直せない」と佐久間さん。組合は応急措置を検討し、今春は被害がなかった水路から水をポンプアップして対応するが作付けは従来の半分ほどの面積になるとみている。

 白河市では10日現在で農地174カ所、農業用施設105カ所で被害が確認されている。

 市は今春の作付けに向けた農地、農業用施設の復旧に全力を挙げているが、被害査定後の復旧工事発注が2月以降になると見込んでおり、担当者は「市内で作付けに間に合わない農地が出てくる可能性もある」と心配する。

 復旧時期...見通し立たず

 被災した田んぼなどの農地や農業用水を供給する施設の復旧工事は各自治体が国の災害査定を経て順次進めている。県によると県内の被害は1600~1800カ所と見込まれ、災害査定は10日時点で7割超に当たる1231カ所が終わり、24日までに完了する。

 ただ、被災箇所が分散している影響などで工事の効率化が難しく、復旧までにかかる期間の見通しは立っていない。広範囲に農業用水を供給できなくなる事態を回避するため、一部施設は災害査定前に着工している。基幹用水路などを中心に復旧を急いでおり、県は「4月までかかっても作付けに間に合うようにしたい」(農村基盤整備課)としている。