世界最大の選挙?!インドの政治・選挙制度を解説

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インドでは昨年4月から5月にかけて下院の総選挙が行われましたが、選挙制度はよく知らない、という方も多いのではないでしょうか。
有権者数は約9億人とされ、「世界最大の選挙」とも呼ばれるインドの総選挙についてなど、今回はインドの政治・選挙制度をご紹介します。

インドの政治・選挙制度:議院内閣制、名目上の国家元首は大統領

インドは日本と同じく議院内閣制(二院制)が採用されている国で、現在は16代目の首相にナレンドラ・モディ氏が就いていますが、名目上の国家元首としては大統領がいます。
大統領の任期は5年間で、実質的な行政権や政治の実権はありません。

インドの大統領の役割は後述する閣僚会議(日本でいう内閣)の助言に則って法案を承諾することや首相や最高裁判事の任命することなどに限られています。日本における天皇の国事行為と似ているかもしれません。ちなみに現在のインドの大統領は17代目のラム・ナト・コビンド氏で、2017年から務めています。
ちなみにインドの大統領はアメリカや韓国の大統領とは異なり国民が直接選挙で選ぶ訳ではありません。上院・下院の議員、インドの州議会議員による選挙で選ばれます。

行政権は内閣(閣僚会議・Council of Ministers)にあります。内閣の首班である首相は、下院の第一党のリーダーが大統領に任命されて務めます。内閣のメンバーである他の大臣は首相の助言で大統領が任命する形を取っています。

インドの選挙制度 国会議員はどう選ばれる?

インドも日本と同じく二院制の議院内閣制の政治体制ですが、選挙制度は異なります。
下院(日本の衆議院)と上院(日本の参議院)がありますが、下院から先に紹介していきましょう。

インドの下院の選挙 ほとんどの議席が小選挙区制で決まる

インドの下院は「ローク・サバ―(Lok Sabha)」といいます。現在の議員数は545でそのうち543議席は単純小選挙区で選ばれています。残りの2人はアングロ・インディアンという少数集団の中から大統領が任命します。
下院議員の任期は5年ですが日本の衆議院のように任期途中で解散が行われることもあります。下院議員選挙の選挙権年齢(投票できる年齢)は18歳以上、被選挙権年齢は25歳以上で、こちらも日本の衆議院と同じです。

昨年4月から5月にかけて総選挙が行われました。日本では一つの選挙の投票日は一度しかありませんが、インドの総選挙では選挙区別にずらして投票日が設定されており、インド全域で7回の投票日(最初の投票日が4月11日、最後の投票日は5月19日)がありました。

インドの上院の選挙 直接選挙ではない

一方インドの上院は「ラージヤ・サバ―」といいます。定数は最大250で、現在の議員数は240人です。
上院議員のうち12人は学術的な有識者などの中から大統領が任命して決まります。それ以外はインドの州議会と直轄領議会で選出されます。
上院議員の被選挙権年齢は30歳以上で任期は6年、解散はなく、2年ごとに3分の1が改選されます。一部ずつが改選されていくのは日本の参議院と似ている気がしますね。

インドの議会構成 下院は「インド人民党」「インド国民会議」の両党で6割以上を占める

インド下院公式サイトMembers: Lok Sabha より選挙ドットコム作成

直接選挙で議員が選ばれるインド下院の議席構成をみてみましょう。545議席のうち選挙でえらばれる543議席のうち議会第1党はモディ首相率いるインド人民党で303議席を占めています。第2党はインド国民会議で52議席です。第1党のインド人民党とその他の協力政党とで「国民民主同盟(NDA)」という連合を結成し、下院で与党を形成しています。
「選挙区の定数が1の小選挙区制の下で議会は二大政党制に近づく」という議論がデュヴェルジェの法則(各選挙区の候補者の数は選挙区の定数+1になっていく)などに基づき日本ではよくなされますが、下の図を見てわかるようにインド人民党・インド国民会議の他にもインドには多くの政党が存在することがわかります。

今後は?

昨年5月に行われた総選挙ではインド人民党及び国民民主同盟が勝利を納めナレンドラ・モディ氏が首相を続投しています。インドでは都市部で雇用状況が悪化するなど国内の課題も抱えるほか経済成長率も鈍化する動きを見せていますが、2029年には日本をGDPで追い抜くと予測されています(日本経済研究センター「アジア経済中期予測」)。今後のインド政治や日印関係には引き続き注目です。