記録づくし? 何だかおかしい今年の冬  続く雪不足、冬日まだの所も

山形市蔵王のジャンプ台で斜面に雪を搬入する重機=11日午後

 この冬は「冬らしくない」と感じている方も多いことでしょう。成人の日や大学入試センター試験を迎える1月は、例年だと度々強い寒気に見舞われ、大雪や寒さが話題になる頃ですが、この冬は「暖冬」や「雪不足」が話題の中心です。(気象予報士=中川裕美子)

 ▽スキー場、観光地に深刻な影響

 1月17日現在の積雪の深さは、平年の50%以下にとどまっている所が多く、10%に届いていない所もあります。平年では1メートルを超す積雪となる新潟県十日町市は0センチ、北陸3県や近畿地方では全アメダスで0センチです(積雪は17日午前9時の値)。

 スキー場では雪不足が深刻です。極端に雪が少ないことから、オープンできない所や一部滑走となっている所があります。  札幌市では白旗山距離競技場で6~8日に予定されていたスキーの国際大会が中止となりました。白旗山では例年、1月には少なくとも30センチの積雪があるのに、今冬はところどころで雪がめくれて土がのぞくため、コース設営ができなかったためといいます。

新潟県の五日町スキー場。雪はどこにも見えない(17日撮影、五日町スキー場提供)

 樹氷で知られる山形市の蔵王では、昨年12月のスキー客は前年同月比マイナス1万人となったそうです。岐阜県の白川郷では異例の「雪のないライトアップ」が始まり、冬の豪雪地帯とは思えない光景が広がっています。

 ▽東京、金沢、京都などで「冬日」未観測

 また、強く冷たい季節風が吹きつける日は少なく、厳しい寒さの日があっても一時的です。東京都心では1月16日までに初氷が観測されておらず、統計開始以来、最も遅い記録である1月13日を過ぎています。東京都心や金沢市、京都市など、東日本や西日本では最低気温が0度未満の「冬日」がいまだ観測されていない所が多くあります。1年の中でも寒さが厳しい頃である寒中を迎えても「冬将軍」はなかなか姿を見せません。

例年のような雪化粧のないままライトアップが始まった世界遺産の白川郷の合掌造り集落=岐阜県白川村

 ▽まとまった積雪、期待できず

 今夜からあす18日にかけては南岸低気圧の影響を受けるものの、雨や雪が降るのは太平洋沿岸部が中心です。岐阜県の山間部や長野県も雪雲はほとんどかからず、雪が降ったとしても、あまり積もらないでしょう。

 ただ大学入試センター試験初日の18日は、関東の山沿いを中心に雪が降り、静岡県や山梨県では大雪となる所もあることから、この地域の受験生のみなさんは注意が必要です。

2018年の大学入試センター試験で、会場に向かう受験生=山形県米沢市

 来週20日の「大寒」には、一時的に冬型の気圧配置となるため、北陸や岐阜県の山間部、長野県、関東北部、東北から北海道の日本海側で雪が降る見込みです。ただ、寒気は一時的で、雪不足をすぐに解消するほどの、まとまった積雪は期待できないでしょう。

 さらに、16日発表の1カ月予報によると、この先も日本付近には寒気が南下しにくく、日本海側の降雪量は平年より少ない見込みです。全国的に暖冬傾向が続くでしょう。多くのスキー場がオープン延期や一部滑走となっている北陸周辺では、山間部でも雪ではなく雨の降る日があり、雪が積もっても解けてしまうことがありそうです。「統計開始以来、初めて冬日の観測がない」という地点がでてくるかもしれません。

 この冬は雪も気温も「記録的」となる可能性が高く、雪の少ない景色が記憶にも残る冬となりそうです。

© 一般社団法人共同通信社