「外国人が手伝うと法律違反」はきびしいです…。 インド出身の議員よぎさんが目指す多文化共生社会とは

昨年4月にアジア出身者としてはじめて議員に当選したインド出身の東京・江戸川区議会議員 よぎ(本名:プラニク・ヨゲンドラ)さん。経営や情報技術・教育などあらゆる分野の知識が豊富で日本語も堪能、「よぎさん」の呼び名で親しまれ、謙虚で明るいその人柄に国内外のメディアからも引っぱりだことなっています。

よぎさんが日本の区議選に出ようと決めたのは、選挙の2か月ほど前だったといいます。「選挙を手伝う運動員に出していいお菓子は1日500円まで」など、細かな規定の多い日本の選挙。さらに、議員の仕事を進めるうえでも、政党や会派、議会では、日本独自のしきたりがあります。よぎさんはどのようなところに疑問を感じているのでしょうか。インタビューしました。

東京・江戸川区議会議員 よぎ(本名:プラニク・ヨゲンドラ)さんの経歴

1977年インド・プネー生まれ。インドの国立学校を卒業後、国際経済、国際経営の修士号を取得。情報技術と日本語の学位も取得する。1997年に国費留学生としてはじめて来日。2001年に日本のIT企業に就職。同年に結婚し、翌年には長男が誕生。

2005年に江戸川区西葛西の団地に移り住み、地元自治会の役員として夏祭りなどのイベントを企画・開催。団地に新しく入居してくるインド人に対して、ゴミの分別、生活習慣、防災などのセミナーも開催する。

在日インド大使館の支持下で全日本インド人協会を設立し、その初代会長に就任。2012年に日本国籍を取得。現在はIT企業の顧問を務めると同時に役所、外務省、企業などで客員講師として活躍。また、飲食店と文化センターを運営している。

 

選挙の1か月前くらいに出馬を決心

選挙ドットコム編集部(以下、選コム):「昨年4月の区議選で初当選されたよぎさん、選挙に出ると決めたのはいつごろだったのでしょうか?」

よぎさん(以下、よぎ):「昨年の2月、インド人協会の活動の一環で、新しく日本に来る外国人に向けて、ごみの分別の方法や電車の乗り方、日常生活のマナーやルールなどを分かりやすくまとめた動画を区役所で流してほしいと、江戸川区長にお願いに行きました。

その帰りに選管(江戸川区選挙管理委員会)に行き、『選挙に出たいのですが、なにもまだ決めていません』と問い合わせをしてみました。課長さんが対応してくださり、はじめは『えっ‥!?』という反応でした(笑)

そこから、区議選の説明会に参加。政治活動をするにはまず政治団体を作らなくてはいけないこと、その申請の仕方や持っていく場所など、選管の人に詳しく教えてもらい、3月には政治団体を登録して活動をはじめました」

選コム:「選管に行った段階では決めていなかったけど、徐々に決心が固まっていったのですね。選挙に出るか出ないか、迷ったのはどのようなところででしょうか?」

よぎ:「当時、銀行の管理職の職が決まっていて、それを急に辞められないので悩みました。選挙にも勝てるかどうかわからないですが、新人議員の場合は選挙が終わってから直ぐに就任しなければならないので、難しい。出ようと決心したのは3月の半ばくらいですね」

 

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