長谷川博己が“得体の知れない光秀像”に手応え! 事件の時は「本当に真っ白になった」

NHK総合で1月19日スタートの大河ドラマ「麒麟がくる」(日曜午後8:00)の初回完成試写会が行われ、主演の長谷川博己、演出を務めた大原拓氏、制作統括の落合将氏が登壇。長谷川は「本当にいろいろありまして、ようやく皆さんの前に作品をお届けできることをひとまず安どしております。これからも大変な部分もあるかと思いますが、スタッフ、キャストがそれぞれの役割をきっちりと果たして、それぞれの力を最大限発揮できるように1年間頑張っていきたいと思います。ぜひ応援してください!」とあいさつした。

同作は、戦国武将の明智光秀(長谷川博己)を主人公に、織田信長(染谷将太)、斎藤道三(本木雅弘)、豊臣秀吉(佐々木蔵之介)、徳川家康(風間俊介)ら歴史に名を残す戦国大名たちが英傑となっていく姿を描くもの。第1話冒頭では迫力ある合戦シーンが描かれているが、演出の大原氏は「ずっと殺陣をしてもらって、(過酷な撮影で)長谷川さんが死んでしまうんじゃないか、殺してしまうんじゃないかと思うくらい、やっていただいた。すごく頑張っていただいて迫力あるキャラ像、光秀ってこういう人物だったのではなかというシーンになりました。光秀が今後どうなっていくのかということにつなげたかったので、大事に丁寧に撮影しました」とコメント。

それを聞いた長谷川は「最初の弓矢を放つシーンから屋根に登るシーンまで、一連の動きでやったんですが、(放送される映像では)切り返しが入っているんですよね」と少し恨めしそう。そして「人を斬るっていうのは、実際はどうだったかは分かりませんが、僕の中で人を斬るときは息を止めるんですね。なので、人を斬って、次に行って、さらに追いかけて…みたいなシーンを(息を止めてやっていて)ほとんど息を吸っていないものですから、酸欠状態になって…。大変だったんですが、今ここで言えてよかったです。本当に倒れそうで、きつかったですが、映像に残っているのでよかったなと最終的には思っています。この先、よろいをつけた合戦シーンも出てくると思いますが、その時は少しご容赦いただきたいですね(笑)」と隣に座る大原氏をけん制した。

また演じる光秀役については「台本を読んだときに難しい役だと思った」という長谷川。「いろんな方が登場して、そのキャラは立っているんですけど、僕の役っていうのは、みんなが思っている明智光秀になる前の姿なので、そこをどう演じていけばいいのかって、すごく思っていて。最初のうちは、主演というのは“受け”の立場だと思っていたので、キャラの強い人たちから受けたものを回していくという形をとっていたんですが、それだけだと物足りない部分が出てきたり、俳優としても不安な部分があったんですね。なので、あえて自分からけしかけていく、ということもやってみたんですが、それもまた気持ち悪かったりして…」と演技の方向性に悩んでいたそう。しかし「そんな風に行ったり来たりしながらやっていくうちに、『あっ、これはこういうキャラクターなんだな』と最近感じていて。分かりづらいのかもしれないですけど、“得体の知れなさ”みたいなものをずっと持ち続けていく人間なんじゃないかなと。それが今後出てくる『自分が何者なのかわからない』というセリフにも通じるものがあるんじゃないかなという気がしています」と長谷川なりの光秀像に手応えを感じ始めている様子。

また、帰蝶役を演じる予定だった沢尻エリカ被告の事件が発生した日は、ちょうど取材日だったそうで、「取材が全部終わったときに、落合プロデューサーが『長谷川くん、話をしよう』と真っ青な顔でいらして。『僕、何か(まずいことを)言いましたか!?』って言ったら『いや、違うよ』と。それで『どうしたんですか? 誰か亡くなったんですか!?』と聞いたら『違うよ!(建物の)上まで行ったら話すから』ていうので、上に行って話を聞いたんです」とその時の様子を振り返った長谷川。そして、事件について聞いた後は「そのときは本当に真っ白になったし、何も言葉が出なくてショックは受けましたけれども。みんながいろいろすごく心配してくださるんですけど、1週間くらいたったらすぐ川口さんが決まった。すぐ切り替えて、みんな、川口さんが(帰蝶役の)初めだったんじゃないかというくらい普通に撮影をしているような感じでした。いろんな雑誌に『長谷川博己、激怒!』と書かれていましたけど、ぜんぜん激怒も何もしていないし」と淡々と話し、「彼女も、もったいないことをしたな、とは思っていますね」としみじみと語っていた。

そして新しく帰蝶役を演じることになった川口春奈については、「すごくストレートにお芝居してくださって、持ち前の魅力である姫っぽさもあって。屈託のない感じもあるんですが、たまに意表をつかれることもあるので、いろいろなことが生まれそうでワクワクしています」と今後の撮影に期待を述べた。

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