「革命起こす」 障害者殺傷の被告、元交際女性が異変証言 〝国境の壁〟トランプ大統領に感化

法廷(イメージ)

 県立知的障害者施設「津久井やまゆり園」(相模原市緑区)で2016年7月、入所者ら45人が殺傷された事件で、殺人などの罪に問われた元職員植松聖被告(29)の裁判員裁判の第5回公判が17日、横浜地裁(青沼潔裁判長)で開かれた。事件当時まで被告と交際していた女性が検察側の証人として出廷し、被告がトランプ米大統領らに感化され、「革命を起こす」と触れ回り始めた異変を証言した。

 女性によると、2人は14年8月に交際を始めて年内に別れ、1年後に復縁した。遮蔽(しゃへい)措置の取られた証言台の前で女性は、障害者に対する被告の発言が復縁前後で一変する経緯を振り返った。

 交際当初は「あの人はかわいいんだよ」と、やまゆり園の入所者に好意的だった被告。16年2月の精神障害による強制的な入院(措置入院)前、「あいつら生産性がない」と否定的な発言が目立つようになったという。女性はたしなめたが、「おまえ、まじで言ってんの?」と反論された。

 被告はこのころ、米大統領選のニュースに関心を寄せ、メキシコ国境に壁を建設すると訴えるトランプ氏に共感していたという。「過激な発言で民衆を動かす先駆者になりたいのだろう」と女性は読み取った。

 「これだ。俺が言いたかったのはこれだ」。そう興奮して肩をたたいてきた被告を、女性は覚えている。被告が退院後の16年4月ごろ、自宅で鑑賞していた映画に、人間か人形かを区別する基準は自らの名前を答えられるか否か、というシーンが流れた。「目をきらきら輝かせ、合点がいったようだった」と女性。この3カ月後、被告は会話できない入所者を選んで襲撃したとされる。

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