伊方原発3号機運転認めず 「原発のまち」に波紋

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四国電力伊方原発。左から3号機、1号機、2号機(愛媛県伊方町)

 四国電力伊方原発3号機(愛媛県伊方町)の運転を認めない広島高裁の決定を受け、中国地方で原発の立地や計画の地域に波紋が広がった。反対住民の歓迎の一方、推進派からは「災害に過敏になりすぎだ」との不満が漏れる。首長たちは今後の司法判断の動向を注視する姿勢を示した。

 伊方原発の運転を巡っては広島地裁でも差し止めを求める訴訟が係争中。堀江壮原告団長(79)=広島市佐伯区=は「稼働していない期間はリスクが減る。今回の決定は広島の訴訟を力づける」と喜んだ。

 中国電力が上関原発の建設を計画する山口県上関町。上関原発を建てさせない祝島島民の会代表の清水敏保町議(64)は「当たり前の判断が出た。追い風になる」と評価。一方、計画を推す立場の柏原重海町長は「詳細を把握しておらずコメントできない」と述べるにとどめた。同じく推進派の上関町まちづくり連絡協議会の古泉直紀事務局長(61)は「高裁段階で最終決定ではない」と受け止めた。

 同町の離島八島は、南部が伊方原発の半径30キロ圏の緊急防護措置区域(UPZ)にかかる。防災訓練を毎年しているが、島民の9割は65歳以上で避難は容易ではない。区長の大田勝さん(81)は「運転を認めないのは危険性があるということ。無理には動かさないでほしい」と求めた。

 中電が再稼働を目指す島根原発2号機(松江市鹿島町)の運転差し止めを求める訴訟の芦原康江原告団長(67)=松江市=は「決定は今後の審査に影響を与えるはず。原子力規制委員会も誠実に受け止めて」と訴える。一方、鹿島町の小浦自治会の亀城幸平会長(69)は「災害の影響に過敏になりすぎでは。島根原発は早く稼働する必要がある」とした。

 中電は広島高裁の決定について「他社の仮処分でありコメントできかねる」とし、島根原発を巡る訴訟への影響も「係争中でコメントは控えたい」とした。

 広島、山口、島根の各県知事も「コメントは差し控える」と口をそろえる。その上で広島県の湯崎英彦知事は「四国電や国は安全確保に万全を期してほしい」と要望。山口県の村岡嗣政知事は「八島がUPZ圏内にあり、引き続き住民避難などの防災対策に万全を期す」、島根県の丸山達也知事は「今後の動向を注視していく」とした。松江市の松浦正敬市長は「(国基準に適合するとした)原子力規制委の審査を経た話。裁判官で判断が変わるようでは問題だ。最高裁が指針を出すべきだ」と指摘した。

 ■識者談話

 □調査の問題点示した 巽好幸・神戸大教授(マグマ学)

 大きな争点である中央構造線断層帯について、「活断層は存在しない」とする四国電力側がきちんと調査していなかった問題を、司法が明らかにした決定で評価できる。阿蘇山の噴火リスクで降下火砕物などの想定が過小な点を指摘したのもまっとうな判断だ。日本はいつどこで地震や火山噴火が起きてもおかしくないことを認識するきっかけにしてほしい。原子力規制委員会の判断が絶対ではなく、今後も事実に合わせてしっかり検討されていくべきだ。

 □都合のいい学説採用 奈良林直・東京工業大特任教授(原子炉工学)

 不合理な決定に大きな衝撃を受けた。独立した立場で公平に審査する原子力規制委員会の審査について、司法は審査の過程に瑕疵(かし)がないかどうかを見るべきなのに、都合のいい学説を持ち出し規制委の判断の中身にまで踏み込んでおり、審理の在り方としておかしい。司法が行政に入りすぎて規制委の意味がなくなり、三権分立が成立しなくなる。司法に対する不信感がわく内容だ。

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