更地が広がります【私鉄に乗ろう98】三陸鉄道リアス線 その14

大槌駅島式ホーム。新しさがむしろ哀しい気持ちを誘います。

新しい駅舎は、大槌湾に浮かぶ小島、蓬莱島(ほうらいじま)がNHKの人形劇「ひょっこりひょうたん島」のモデルになったということで瓢箪型の屋根が特徴的です。

「ひょっこりひょうたん島」はNHK総合放送で1964年(昭和39年)東京オリンピックの年に放送が始まりました。筆者は小学2年生でした。1969年(昭和44年)まで5年間も続いたので放送終了時には筆者は中学生になっていました。原作者の故井上ひさしさんは東北の山形生まれです。「吉里吉里人」を書いたのも井上さんでした。それは吉里吉里駅の時に書きます。他にも「忍者ハットリくん」(原作は漫画家の藤子不二雄さん)のテレビドラマの脚本も書いています。天井に逆さに坐るハットリくん。懐かしいな。

駅舎内に「Tokishirazu(トキシラズ=鮭)」という飲食店があって「新巻鮭ラーメン」が新名物として提供されています。ラーメンに塩鮭? う〜ん降りてちょっと食べてみたかった!

また、更地が広がります。・・・・。正面の山をトンネルで抜けると吉里吉里です。

大槌川を渡ります。南部鼻曲鮭(なんぶはなまがりさけ)の産地として有名な川。他にもあゆ、やまめ、いわな、うぐいなど清流の魚が釣れる川です。

新しい路盤、線路が続きます。21パーミルから25パーミルの勾配を上ってゆきます。

吉里吉里トンネル(805m)に入ります。

トンネルを抜けると海が正面。船越湾です。船越湾を襲った津波の高さは19m。(いわて震災津波アーカイブ希望のデータ)141kmのキロポストがあります。JR山田線時代のものが意識的に残されたのでしょうか。盛岡起点なので141kmなのですね。

左にカーブします。リアス線は築堤の上に敷かれているので津波の被害を受けなかった様な感じです。

大槌駅から3.4kmで吉里吉里駅。

駅舎が新しくなっていますが、駅の佇まいは震災前と変わりません。有人時代の古い木造駅舎は残念ですが2012年(平成24年)に解体されてしまいました。東日本大震災後の山田線休止期間中のことです。

被災直後の写真に駅は少ししか写っておらず確認不足なのです。駅自体は被災しなかったと思いましたがバラストもPC枕木も新しいですね。

吉里吉里という地名には思い入れがあります。それは次回。

【私鉄に乗ろう98】三陸鉄道リアス線その15 に続きます。

(写真・記事/住田至朗)

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