諫干差し戻し審の進行協議 漁業者側「和解目指す」 国、別訴訟の確定判断も主張へ

 国営諫早湾干拓事業の潮受け堤防排水門の開門確定判決を巡り、開門を強制しないよう国が漁業者に求めた請求異議訴訟の差し戻し審の進行協議が17日、福岡高裁(岩木宰(おさむ)裁判長)で開かれた。漁業者、国側双方によると、高裁の和解勧告はなかった。
 協議は非公開。終了後に会見した漁業者側は和解を目指す方針を強調した。国側は「開門せずに基金で和解する」との従来方針を堅持し、昨年6月に最高裁が別の2件の訴訟で「非開門」を確定させた判断を追加主張する方針を示した。
 漁業者側は2月21日の第1回口頭弁論で、漁業者と農業者の被害救済に向け和解を求める上申書を提出する。馬奈木昭雄弁護団長は高裁が隔月の口頭弁論と毎月の進行協議を設ける点を挙げ「今後の和解を含む穏当な訴訟指揮」との見方を示した。
 国側は2018年2月の請求異議訴訟控訴審の口頭弁論終結後、有明海の漁獲量回復傾向などの事情変更を主張する方針。
 請求異議訴訟で最高裁は昨年9月、国が主張した共同漁業権の解釈に誤りがあると指摘し、開門確定判決を事実上「無効」とした二審判決を破棄し、福岡高裁に差し戻した。

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