インタビュー 西日本鉄道・倉富純男社長 ニモカ、長崎県内70万枚目標 将来のホテル進出に含み

ニモカの機能などについて話す倉富社長=福岡市博多区、西日本鉄道本社

 西日本鉄道(福岡市)の倉富純男社長は長崎新聞社のインタビューに応じ、子会社が発行し県内外のバスや鉄道7社・局が今春に運用を開始する交通系ICカード「nagasaki nimoca(ナガサキニモカ)」について、発行枚数の目標を70万枚と明らかにした。また、将来的な自社ホテルの長崎進出にも含みを持たせた。

 -子会社が発行する交通系ICカード・ニモカについて。

 福岡を中心に大分、熊本、宮崎などで導入され、約250万枚が利用されている。商業と相性がよく、加盟店での買い物でポイントが付く機能などがある。子会社では長崎県内での発行枚数を(県内の事業者がニモカ導入方針を明らかにした2017年当時の)長崎スマートカードと同水準の約70万枚を目標にしている。

 -利用データの活用は。

 西鉄では路線バス利用者の8割がICカードで運賃を支払う。乗降データを把握でき、車両の運行データなどと合わせて効率的なダイヤ編成に生かしている。混んでいるバス、そうでないバスを平準化でき、乗りやすいバスにつながる。データを蓄積していけば、長崎県内でもそういう生かされ方になるだろう。事業者にも利用者にもウィンウィン(相互利益)の関係を築くことができる大きなツールだ。

 -長崎県をはじめ各地で高齢化や人口減少が進む。

 高齢者に出歩いてもらうという意味では、公共交通が果たす役割はますます大きい。ニモカの使い方はシンプルで分かりやすい。敬老パスのようなものをニモカのデータに入れられればどんどん動ける。そういった改善は今後も加え、長崎でも共有していく。

 -22年度に九州新幹線長崎ルートが暫定開業する。関連会社の「九州急行バス」が福岡-長崎間で高速バスを運行しているが、影響はあるか。

 リレー方式だからと高速バスに流れることはないと思う。料金の問題ではないか。高速バスと大きく差がつくようであれば(利用者が)使い分けるだろう。
 福岡-鹿児島間は新幹線全面開業後も高速バスとすみ分けされている。二者択一ではなく二つあることでお客さまが寄ってくるということだろう。交通網の充実は地域にとってプラス。どちらが勝つかではなく、両方勝つという効果があるのではないか。

 -長崎県内での事業展開は。

 ホテルはビジネスチャンスがある。ただ、長崎は宿泊料金が安く事業になりづらい。今後、高級ホテルができ、単価が上がっていくと事業者にとっては追い風になるだろう。
 -長崎県と佐世保市が誘致を目指しているカジノを含む統合型リゾート施設(IR)についての考えは。
 九州に人が集まるような装置ができ、実際に人が集まってくることは大歓迎。もし佐世保に決まれば、グループの旅行会社でツアーを組むなど、人を送るという面で協力できると思う。

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