元Gマシソン、引退理由は左膝への「57回の注射」 家族と東京五輪への思いも告白

MLB時代はフィリーズでプレーしたスコット・マシソン【写真:Getty Images】

「日本にファンがたくさんいてそれは幸運なこと。彼らの前でもう1度投げたい」

 昨季限りで巨人を退団したスコット・マシソン投手。プロとしてのキャリアは終えたが、カナダ代表ではプレーを続け、東京五輪出場を目指している。日本では8年間で通算421試合に登板し、54セーブ174ホールド、防御率2.46の成績を残した右腕は地元メディアの取材に応じ、引退の理由と五輪出場への思いを語っている。

 カナダ野球専門メディア「カナディアンベースボール・ネットワーク」は、「日本に“グッドバイ”を告げるのはマシソンにとって簡単なことではない」とのタイトルで、巨人で8年間プレーしたマシソンを特集。18、19年は膝の怪我で躍動できなかったことは引退の理由の1つとしながら、最大の理由は家族の存在だったとしている。

 2002年ドラフト17巡目でフィリーズに指名され、2006年にメジャーデビュー。2012年からは巨人でプレーし、昨季までの18年間を野球に捧げてきた。突然の引退表明に驚いたファンも多かったが、「最大の理由は家族だったんだ。(家族と共に時間を過ごすことで共有できる)多くの出来事を逃してしまっている気がしてね」と記事内で語っている。

 また、18年8月に受けた左膝手術の影響もあったようだ。「膝の状態も理由の1つだったよ。今年(19年)を乗り切るために、57回も注射を打ったからね。体に負担がかかっていたんだ」。11月には感染症にもなり、19年6月には復帰したものの、日本一を目指すチームのために満身創痍の状態で投げてきた。

 リーグ優勝で有終の美を飾ってNPBでのキャリアは終えたが、オフにはカナダ代表として「第2回 WBSC プレミア12」に出場した。結果は1勝2敗でオープニングラウンド敗退となり、アメリカ大陸最上位国に与えられる東京五輪の出場権は逃したが、今年3月のアメリカ最終予選、4月の世界最終予選で最後の2枠にわずかな可能性を賭ける。

「日本でキャリアを終えることができたら、花を添える喜びになるだろうね。僕の成功は、ほとんどがそこ(日本)からきているんだ。向こうで終えることは、本当に楽しいことになると思う。僕には日本にファンがたくさんいて、それは幸運なことだよ。彼らの前でもう1度投げたいね」

 2012年に来日してから9年。記事では「僕がそこでプレーした初日から、僕がカナダ人であることをみんなに知ってほしかった。カナダ人であることを非常に誇りに思っているよ」と語っている。カナダ代表としての雄姿を日本のファンに届けるために最後の力を振り絞る。(Full-Count編集部)

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