田中圭×『愛がなんだ』の今泉監督が贈る、リアルで優しく不器用な片思い『mellow メロウ』

『mellow メロウ』©2020「mellow」製作委員会

ハイペースで新作を発表する今泉監督と破竹の勢いの田中圭

今泉力哉監督については、友達のバンド、Homecomingsがエンディング曲を担当した『愛がなんだ』(2018年)の印象が強くあったので、もう新作が公開になるのかと思い調べていたら、『アイネクライネナハトムジーク』も2019年公開でしたし、2020年1月24日(金)には『his』という最新作の公開も控えているようです。

そんな、映画って簡単に作れてしまうのかなと思わず勘違いしてしまいそうなほどハイペースで作品を発表し続けている今泉監督と、今すさまじいご活躍の田中圭さんが主演という組み合わせが、2020年1月17日(金)より公開の『mellow メロウ』です。

『mellow メロウ』©2020「mellow」製作委員会

『愛がなんだ』は、ビデオで撮った自分の不格好な振る舞いを見る恥ずかしさのような、客観的に見ることで明瞭に認識させられてしまう拙さみたいなものが、すごくリアルに描かれています。登場人物それぞれの行動がふと自分とリンクしたときに、いたたまれないような居心地の悪さと共に、自省の念が起きる映画でもありました。

『mellow メロウ』では、田中圭さん演じる花屋で働く夏目誠一の、優しいけれど自分のことには鈍感な男の視点で、同じように優しい人たちとのやりとりが描かれています。登場する人たちそれぞれの繊細な心を、まるで花のように丁寧に優しく扱う誠一の姿は見ていてとても安心でき、こういう人で溢れた世界になってほしいなと切に思いました。また、ときおり彼や彼女たちが発するセリフは、監督がスクリーン越しに話しかけているようでもあり、凛とした監督の哲学や優しさが滲むようでした。

『mellow メロウ』©2020「mellow」製作委員会

『愛がなんだ』と『mellow メロウ』に共通するリアル

気の遣い方のズレや、ちょっとした間合いの悪さで物語が展開していく様子は、映画として俯瞰して見ることで面白く感じますが、現実世界でもこういったすれ違いは起こっているのではないでしょうか。気づかないうちに取り返しのつかないことになったり、逆に素敵なことが起きたりする、というところまで踏み出してリアルに感じさせてくるところが、『愛がなんだ』と『mellow メロウ』に共通して感じたところでした。

『mellow メロウ』©2020「mellow」製作委員会

田中圭さんに関しては、ドラマ「おっさんずラブ」や「あなたの番です」も見たのですが、もう安心して見ていられる“田中圭という存在”を確立しているように思えて、これからもどんどん“田中圭”ありきの作品が増えるな、と考えずにはいられなかったです。

『mellow メロウ』©2020「mellow」製作委員会

文:川辺素

『mellow』は2020年 1月17日(金)より全国公開

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