47歳一人暮らし、貯金1250万円。関東に転勤してきて、老後のことで悩んでいます

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相談者は、名古屋から関東に転勤してきている47歳の会社員女性です。いずれ名古屋に帰る予定ですが、関東で家を購入することを検討しているといいます。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

将来的には名古屋に帰りたいですが、この会社にいる間は無理です

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、名古屋から関東に転勤してきている47歳の会社員女性です。

いずれ名古屋に帰る予定ですが、関東で家を購入することを検討しているといいます。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

相談者

くみさん(仮名)

女性/会社員/47歳

千葉県/借家

家族構成

一人暮らし

相談内容  

老後のことで悩んでいます。数年前、転勤で名古屋から関東に来ました。将来的には名古屋に帰りたいですが、この会社にいる間は無理だと想定しています。60歳で帰るか65歳で帰るかはまだ決めきれていません。

現在、家賃は会社から4万5000円ほどの補助が出ていますが、3年後に補助が2万円に減額になります。60歳以降は額面給与が20万円程度になります。ボーナスも寸志程度になります。

10年程度の居住予定になりますが、2000万円程度の中古マンションを買った方がいいのか、それとも賃貸で60歳または、65歳まで暮らし、60~65歳は貯蓄を取り崩して暮らし、名古屋に引き揚げた方がいいのか悩んでいます。

退職金はおそらく1000万円強、ねんきん定期便では月額17万円程度の年金がある予定です。現在は年に2回ほど海外旅行に行くのに計80万円ほど、ゴルフに年間50万円ほど使っています。贅沢なようですが、日々のストレスの大切なはけ口です。

名古屋には両親(80代)がいて、月に1~2回程度様子を見に帰っています。往復に3万5000円ほどかかります。両親の家は持ち家ですが、兄弟が住む予定のため、定年後は私は別で暮らしたいと考えています。

賃貸では老後、なかなか貸してもらえなくなると聞いたことがあります。仮に関東に中古マンションを買って名古屋に引き揚げたあとは売却し、名古屋で安い中古マンションを買う足しにしたいと思いますが可能でしょうか?

それとも関東にいる間は家を購入するべきではないのでしょうか。ローンを組む必要があるので、買うなら早いに越したことはないという考えと、賃貸で払うであろう家賃分を積み立てたと考えて、売却損との収支がマイナスになるのであれば買うべきでないのか、買えば老後の足しになるのかわかりません。

いずれにせよ老後を逼迫させるのは、私の場合、住居費と想定しており悩んでいます。よろしくお願いいたします。

家計収支データ

相談者「くみ」さんの家計収支データ

家計収支データ補足

(1)収支について

手取り月収に、家賃補助4万5000円分は含まれています。

(2)車両費について

車両費2万円の内訳はガソリン代です。駐車場代は家賃に含まれています。3年以内に買い換えると思います。250万円以内のものを想定しています。

(3)加入保険について

本人/生命保険(終身タイプ、65歳払い済み、死亡保障500万円、医療特約入院5000円付き)=毎月の保険料4000円くらい。

(4)ボーナスの主な使い道について

旅行80万円、ゴルフ関係30万円、車保険、車検、税金など30万円、貯金20万円、残りは月々の不足分の補填。通常使っている口座の残高が年間を通してほぼ一定しているので、貯金以外詳細は異なっていても使っています。

旅行代には帰省代も含まれています。月に1~2回往復しています。ボーナスと月々の給料を区別して使っていません。

(5)貯蓄と投資の内訳について

・貯蓄:すべて普通預金750万円

・投資:投資信託500万円

FP深野康彦の3つのアドバイス

アドバイス1:60歳で地元に戻り、中古マンションはキャッシュで購入

アドバイス2:60歳から65歳は収支トントンで過ごせれば、あとは安心

アドバイス3:65歳からは年金がベースになるので、生活のダウンサイジングは必要

アドバイス1:60歳で名古屋に戻り、中古マンションはキャッシュで購入

一人暮らしで老後の住まいをどうするかは、みなさん悩むところです。くみさんは、将来のことをきちんと考えておられ、現時点でも1000万円を超える金融資産をお持ちですから、いろいろな選択肢があるでしょう。

ご相談のポイントは、いつ、どこでマンションを購入するか、ということに絞られると思います。仕事の兼ね合いもあると思いますが、結論としては、60歳で地元に戻り、中古マンションを現金で購入するのがいいと思いますよ。

確かに今、関東で中古マンションを購入してもローンの返済に困ることはないように思われますが、問題はいざ、地元に戻ろうとしたときに、都合よく売却できるかという点です。

万が一売却できなければ、ローンを払い続け、地元での家賃もかかり、負債資産を抱えてしまうことになります。売却せず賃貸にするとしても、借り手が必ずつく保証も、途切れず契約が続くかもわかりません。

地元に戻ることを優先するなら、将来に不安を残す選択は避けた方がいいでしょう。

現在、毎月5万円、ボーナスから20万円の貯蓄ですが、60歳までに、もう少し貯蓄を増やしておきたいところです。これからの13年が最後の貯め時です。

毎月の貯蓄にあと1万円は上乗せを。これは家計を少しずつ見直せば、くみさんなら無理なく捻出できる金額です。毎月6万円のうち、くみさんが拠出できる上限金額まではiDeCo(個人型確定拠出年金)を使って、老後資金として運用をしてみてはいかがでしょう。

勤務先で企業型確定拠出年金があれば、掛金を上乗せするマッチング拠出でもいいでしょう。まずは勤務先に確認してみてください。

ボーナスについては、旅行、ゴルフはストレス解消のために必要とのことですが、少しだけ減らして、貯蓄を40万円にできませんか?

これで、毎月6万円、ボーナスから40万円で年間112万円の貯蓄ができます。60歳までの13年間で約1456万円になります。現在の貯蓄残高1250万円、退職金の1000万円を加えると、60歳時点での金融資産は約3700万円です。

これを持って、地元に戻り、2000万円の中古マンションをキャッシュで購入。金融資産1700万円程度は残ります。

アドバイス2:60歳から65歳は収支トントンで過ごせれば、あとは安心

マンションをキャッシュで購入すれば、管理費などはかかりますが、住居費はかなりセーブできます。60歳から収入が20万円に減ってしまっても、支出をその範囲で収めることは不可能ではないと思われます。

貯蓄は思うようにできなくなるかもしれませんが、60歳から65歳の間は収支トントンになるように家計管理できれば大丈夫です。ただし、ボーナスがなくなる分、旅行、ゴルフは、かなりセーブしなくてはならなくなるでしょう。

1700万円の金融資産をどう使うかはくみさん次第ですが、60歳以降も旅行、ゴルフで年間50万円程度使っても、75歳まで15年間で750万円。それでも900万円程度は残せます。

アドバイス3:65歳からは年金がベースになるので、生活のダウンサイジングは必要

65歳からは公的年金の毎月17万円。不足分を貯蓄から取り崩していきます。毎月3万円なのか、5万円なのか、その時点での金融資産の額によってコントロールする必要はあるでしょう。

生活をダウンサイジングするのか、趣味の旅行、ゴルフにどの程度かけるのか、それは、くみさんの裁量になります。

さかのぼって、現在に戻って考えてみると、毎月6万円、ボーナスから40万円の貯蓄をと最初にアドバイスしましたが、たとえば、3年後の車の買い換え予算は250万円から200万円に抑える、ボーナスからの貯蓄をもう少し増やす、毎月の家計でもう少しムリなく絞れるものはないか、といった家計チェックをされてはいかがでしょう。

今の生活を無理な節約でつまらないものにしてしまう必要はまったくありませんが、趣味の旅行やゴルフを長く続けていけるように、今は少しの我慢も必要かもしれません。

最後に、現在、預貯金は普通預金のみで生活費とボーナスを分けて管理していないということですが、貯蓄の基本は先取りです。給料口座から、毎月の貯蓄分、ボーナスからの貯蓄分は自動振替で定期預金にするなど、確実に残していく方法をとってほしいと思います。

このままだと普通預金口座に1000万円以上、貯まっていくことになります。一般の銀行よりも金利のよい定期預金もありますので、まとまったお金は、そうした定期預金に預け替えることも検討してください。

どうぞ、よい選択をなさってください。

相談者「くみ」さんから寄せられた感想

もっと厳しい意見があるかと覚悟しておりましたが、自分で予測しているより状況は明るいのかと受け止めました。ただ、意見をいただきすっきりしたというより、今度は自分の中に違う選択肢が出てきてしまって、さらにお話を聞きたくなりました。

いずれにせよ、寿命までの収支がかなりの精度で計算できる歳になったのだと痛感し、アドバイスいただいた通り、貯蓄のペースをあげるべきだとわかりました。

リタイア後の生活を楽しみに今まで働いてきたのに、ギリギリ生きているだけになりそうです。まずは家計簿をつけて収支の把握をしたいと思います。アドバイス、誠にありがとうございました。

教えてくれたのは……深野 康彦さん

 

マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。

取材・文:伊藤加奈子

(文:あるじゃん 編集部)