鷹・千賀滉大が語る上野由岐子、菅野智之、そして開幕投手の意義とは…

ソフトバンク・千賀滉大【写真:福谷佑介】

「リーグ優勝ができていないのが心に残っている部分がある」と語る千賀

 ソフトバンクの千賀滉大投手が18日、福岡・久留米市内で行っている自主トレを報道陣に公開した。プロ1年目から師事する鴻江寿治トレーナーの主宰する「鴻江スポーツアカデミー」の合同自主トレに今年も参加。川原弘之投手や杉山一樹投手、巨人の菅野智之投手、ソフトボールの上野由岐子投手らと、映像を用いたフォームチェックなどを行った。

 今年はこの日が初めての本格的な投球練習。14日から合同自主トレに参加しているが、ここまでは後輩の杉山や吉住、ロッテの種市、阪神の浜地、広島の遠藤ら若い投手のフォーム固めに力を注いだ。「自分は先生との会話の中でイメージできるようになった。それよりも、しっかり杉山であったり、吉住だったり、そういう人たちのこと思いながら、あとは他球団の種市だったり、浜地だったり、声をかけてくれたので、何かしら返せるものがあれば」と時間を割いてきた。

 ほぼ千賀の中で形は固まりつつある。それでいて、千賀にとって、この合同自主トレを参加する意図はどこにあるのか。自分を慕ってきた若手への想いも1つ。そして「毎年毎年投げている中で考えて、自分でどういうふうにやっていくか決めていく時間だと思っている。凄い充実していますし、フォームの中でもしっかり考える力が育ついい時間かなと思います」と“考える力”を育む時間なのだという。

 今年は球界を代表する菅野が参加し、ソフトボール界のレジェンド上野由岐子投手と3人で話し込んだよう。「上野さんの考え方というのは、なかなか野球界や僕の周りにいる人との会話の中では生まれることのないことを言ってもらいました」「菅野さんは球界のトップのピッチャーなのは間違いない。そういう人から見て学んで話してもらえる。僕だけじゃなくて他の選手にもチャンス」と貴重な時間となったようだ。

 東京五輪イヤーとなる今季。侍ジャパンのエース候補としても期待される千賀だが、チームでの役割も大きい。3年連続での開幕投手を任されることは有力。千賀自身は「そこが全てではないですけど、自分の中で意識高く過ごしていって、周りにいい影響を与えていける選手になっていきたいと思っていますし、そういう選手が立つべき場所だと思っている。そういう選手になっていけるように、選ばれても周りの人から『千賀だったら』と言ってもらえる選手でいられるようにやっていきたいと思います」と語る。

 昨季はノーヒットノーランを達成し、最多奪三振のタイトルも手にした。それでも、心の中には悔しさが残った。「自分の個人の数字を見ますと、例年に比べたらやれた方かなとは思いますけど、1年間回ってリーグ優勝ができていないのが心に残っている部分がある」。チームの3年ぶりのリーグ優勝、4年連続の日本一、そして、日本中の期待を背負う東京五輪。千賀にとって大きな1年が幕を開けた。(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)

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