カージナルスは補強を焦らず 現有戦力の復調と成長に期待

カージナルスは昨季、ナショナル・リーグ中部地区を制してリーグ優勝決定シリーズまで進出したものの、得点力不足に苦しむ場面が多々見られた(764得点はリーグ10位)。そのため、得点力アップに向けての補強が今オフの課題となっていたものの、ここまで目立った補強は行っていない。ジョン・モゼリアック野球部門社長は、昨季期待を裏切るパフォーマンスに終わった選手たちが復調し、若手選手たちが成長することこそが最大の戦力補強であると考えているようだ。

今オフのカージナルスは、先発5番手候補として韓国球界から金廣鉉(キム・グァンヒョン)を獲得したのが目立つ程度。レイズとのトレードでは有望株との交換でホゼ・マルティネスとランディ・アロザレーナを放出し、中心打者のマーセル・オズーナもフリーエージェントとなったままである。オズーナとの再契約やノーラン・アレナード(ロッキーズ)のトレードでの獲得が噂されているものの、モゼリアックは補強が急務であるとは考えていない。

「戦力アップのカギは球団内部にあると思っている」とモゼリアック。「昨季期待通りに働いた選手が何人いただろう。2人くらいかもしれない。期待を裏切った選手たちが本来のパフォーマンスを取り戻すのは、現実的な話だと思うんだ」と語り、なかでも昨季打率.226の大不振に陥ったマット・カーペンターの復調を期待しているようだ。また、チーム最多の34本塁打を放ったとはいえ、OPS.821と低調なシーズンを過ごしたポール・ゴールドシュミットのさらなる活躍にも期待を寄せている。獲得が噂されるアレナードのトレード交渉が進展する気配を見せないのは、モゼリアックのこうしたスタンスも理由の1つだろう。

一方、オズーナとの再契約が噂される外野については、モゼリアックは若手選手の台頭を期待している。レーン・トーマス、タイラー・オニール、ジャスティン・ウィリアムス、ディラン・カールソンといった若手選手たちがレフトのレギュラー候補に挙がっており、内野も兼任するトミー・エドマンも含め、スプリング・トレーニングで熾烈なレギュラー争いが繰り広げられることになりそうだ。

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