遺伝子発現の制御に茶カテキンが関係

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荻原洲介さん(薬学系・博士1年)らは12月23日、遺伝子発現の制御に関わる薬剤を効率的に探索する仕組みを確立し、茶カテキンによって大腸がん細胞が細胞死を起こしやすくなることを発見したと発表した。緑茶の健康効果の説明につながると期待される。

遺伝子発現は、遺伝情報からタンパク質を合成する働き。この機能は多様な因子で調節され、タンパク質や遺伝子の「メチル化」はその一つだ。近年、メチル化を行う酵素は「S―アデノシルメチオニン(SAM)」という物質の濃度変化で制御されることが分かった。SAM濃度とがんなどの疾患の関係も報告されており、濃度変化の仕組みを理解。制御する方法の開発が求められていた。

萩原さんらは、SAM濃度の高感度な測定法を開発し、細胞内のSAM濃度を変化させる薬剤を効率的に探索する実験系を確立した。SAM濃度の上昇が悪化に寄与することが示唆されている大腸がんの細胞を使って探索を行った結果、茶に含まれるカテキンや類似化合物が大腸がん細胞のSAM濃度を低下させることが判明。大腸がん細胞が作る薬物代謝酵素の一種が関わっているなど詳しい仕組みも明らかにした。

カテキンによるSAM濃度の低下が実際に大腸がん細胞に影響を与えるかも検証。細胞内のヒストンタンパク質のメチル化を低下させ、細胞死を起こしやすくすることを確かめた。