大漁祝う晴れ着再現 小田原で「万祝」お披露目

お披露目式で万祝の除幕を行う関係者=松原神社

 小田原の漁師町の伝統を伝えようと、地元団体が大漁を祝う漁師の晴れ着「万祝(まいわい)」を製作し、お披露目式が19日、松原神社(神奈川県小田原市本町)で行われた。

 製作した「小田原かま活歴活実行委員会」によると、万祝は江戸期から戦前にかけて、大漁の祝いや祈願などのため、同じ網元の漁師全員が神社仏閣に参詣する際に着た長半纏(ばんてん)。今回は4着製作し、いずれも衣紋部分に縁起物の鶴と小田原北条氏の家紋である三(み)つ鱗(うろこ)を入れ、裾の部分には「大漁」の文字と、かつて小田原の浜に大量に揚がったブリをあしらっている。

 お披露目式では実行委の田代守孝委員長が「万祝を通して、地元の文化継承、観光客による市内回遊が促進されるよう期待したい」とあいさつ。実行委を構成する小田原かまぼこ通り活性化協議会、JR東日本横浜支社、同市の代表者と氏子代表の計4人が万祝を着て参拝した。同神社のみこし運行などを行う明神会も木遣(きや)り唄を披露した。

 多くの市民や観光客に見てもらおうと、1着は同神社に展示。残る3着の展示場所は調整中という。

 現在の本町、浜町地区の海側はかつて漁師町で旧小田原魚市場があり、かまぼこなどの水産加工業者も集まっていた。実行委はこれまで山車小屋、同神社御神庫の整備を行い、漁師町の伝統や歴史を伝える取り組みを行ってきた。

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