マイケル・シェンカーのギターソロ、武道館のヘッドバンギングが止まった! 1983年 1月20日 マイケル・シェンカー・グループが2度目の来日公演を日本武道館で開催した日

会場は日本武道館、マイケル・シェンカー・グループの来日コンサート

ちょうど37年前だ。1983年1月20日、場所は日本武道館。僕は遂に、神と呼ばれる男をこの目で目撃することになる。そして、夢にまで見た、この男を神と言わしめるに最も相応しい曲、「ロック・ボトム」を生で聴くことになる。

マイケル・シェンカー・グループ(以下MSG)の2回目の来日コンサート。僕はこの時、高校2年生で初めての武道館。当時のチケット代は3,900円、2階席だった。その2階席の急な傾斜にちょっとビビッていることを、一緒に行ったハードロックの師匠(同じクラスの女の子)にバレていないかなというドキドキと、好きで好きで堪らないギタリスト、マイケル・シェンカーを生で観られるというドキドキで、心臓が破裂しそうだったことを覚えている。そして、願っていた。頼むから「ロック・ボトム」を演奏してくれ、と。

ハードロック史に残るギターソロ、UFO の「ロック・ボトム」

「ロック・ボトム」はマイケル・シェンカーが UFO に在籍していた時の曲だ。1974年に発売されたアルバム『現象(Phenomenon)』に収録されている。この曲のマイケル・シェンカーのギターソロは美しく、そして凄まじい。ハードロック史上に残ると言っても過言ではないこのギターソロを超えるギターソロを僕は未だに知らない。この曲を初めて聴いた時、マイケル・シェンカーは正に神であると確信し、彼への感情が、尊敬から崇拝に変わった音を聴いた。そう、この曲は、僕にとって最上位に君臨する神曲なんだ、未だにね。

「ロック・ボトム」はアルバムクレジットでは6分31秒、ライブでは10分以上演奏されることもある大曲。ゆえにすべてのライブで演奏されるわけではない。マイケル・シェンカーの気分次第という時もある。事実、1981年の MSG の初来日コンサートでは演奏されていない。だから願った、頼むから演奏してくれ、と。

最後の最後で「ロック・ボトム」武道館のヘッドバンギングが止まった!

そして夢は叶った。アンコールだった。最後の最後で演奏された「ロック・ボトム」は素晴らしかった。感動的だった。この時のマイケル・シェンカーのプレイは凄まじく、息もつけない程の殺気のようなものも伝わってきて、ギターソロの間、武道館中のヘッドバンギングが止まったほどだ。僕も、一瞬でも見逃すまいと身じろぎせずに聴き入っていた。ギターソロがこのまま終わらないでくれ、と願いながら。

マイケル・シェンカーの持つ憂いに満ちたメロディセンスと、鋭角なギターサウンドは実に素晴らしく、ハードロックが苦手な人でも受け入れてもらえると思う。マイケル・シェンカーを聴いたことがない方は、是非、騙されたと思って聴いてみて欲しい。上手いギタリストはたくさんいるけど、問題はよい曲を作れるかどうかだ。曲が素晴らしかったら音楽のジャンルなんて関係ない。

マイケル・シェンカーが「ロック・ボトム」を作ったのは18歳の時。ね、神でしょ!

※2017年1月20日に掲載された記事をアップデート

カタリベ: 藤澤一雅

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