【社説】難航する野党合流協議 政策擦り合わせが先だ

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 立憲民主党と国民民主党との合流協議が難航している。

 「1強」の安倍政権に対抗するため、「多弱」と言われる野党を大きな固まりにしようという考えは理解できる。しかし選挙協力や議会内の統一会派とは全く次元が異なり、簡単ではない。

 党を一つにしようとするのであれば、まずは理念や政策の擦り合わせを急ぐべきだ。そこをおろそかにしたのでは、単なる「選挙互助会」になりかねない。有権者に見透かされれば、信頼を得ることなどできまい。

 共通の理念と政策でまとまってこそ、連立与党の自民、公明両党に代わる対立軸を国民に示すことができるはずだ。かつての民主党の失敗を教訓にする必要があろう。

 合流協議は昨年12月、早期の衆院解散・総選挙をにらみ、立民の枝野幸男代表が統一会派を組む国民などに提案した。年末の両党幹事長の会談では立民への吸収合併で大筋合意していた。しかし今年に入って、国民の玉木雄一郎代表が吸収合併に異論を唱え、暗礁に乗り上げた。原発政策などを巡っても溝が深まっているという。

 国民はきょう、両院議員総会を開いて合流問題について協議する。しかし参院には、脱原発にそっぽを向き、合流にも慎重な意見の議員が多く、積極的な衆院議員との意見の隔たりは大きい。紛糾は避けられまい。

 枝野代表は、国民が合流方針を決めない場合、いったん協議を見送る可能性を示している。ただ「破談」しても選挙協力は深める構えだ。

 両党とも支持率が伸び悩んでいる。昨年7月の参院選では、新党れいわ新選組が特に組織もないのに大きく躍進した。このままでは巨大与党に太刀打ちできないどころか、野党の中軸という看板も失いかねない。

 昨年10月の臨時国会を前に統一会派を結成したのは、そんな危機感もあったに違いない。

 統一会派は衆参合わせて170人を超す勢力になった。「多弱」野党がまとまることで、数で反対意見を押し切ってきた安倍政権の「おごり」をただすのに一定の成果を上げたと言えよう。野党の質問時間が増え、一緒に政権を追及する策を考えることで、質問の無駄な重複が避けられるメリットもあった。

 昨年秋には、岩手県知事選で野党の推薦候補が自民党の推薦候補を破った。野党連携が功を奏した。こうした協力を積み重ねることで、今度は一つの党としてまとまろうと、合流協議にまで発展したのだろう。

 しかし先行きは見通せない。国民の衆院議員は東京五輪後にも予想される衆院解散、総選挙に備え、野党結集を急ぎたいのだろう。だが参院側は電力総連をはじめ原発再稼働を進めたい労組の組織内議員を抱える。昨夏の参院選で立民などの候補者と戦ったしこりも残っている。

 両党議員の多くがかつて所属していた民主党の失敗が参考になる。安全保障や憲法など重要政策で議員の意見が異なっていた。一度は政権に就いたものの、準備不足や、党内対立で有権者に愛想を尽かされた。

 同じ失敗を繰り返さないため目指すべき国の形といったビジョンや政策を丁寧な議論でまとめる必要がある。広がる格差や衰退する地方への対応策など、有権者のニーズはあるはずだ。

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