テレワークで自宅の仕事用スペースと郊外居住増加を予測

リクルート(東京都千代田区)は1月20日、「2020年トレンド予測」を発表した。住まい領域についてはテレワークの普及に伴い、自宅にワークスペースを設ける他、通勤時間を気にせず郊外に生活するといったパターンが増える「職住融合」の動きが強まると予測した。

政府目標として、東京オリンピック・パラリンピックが開催される今年は、テレワーク導入企業率を2012年度の11.5%から3倍にすることなどが掲げられている。労働者サンプル数1万6213人のリクルートによる調査では、「テレワーク実施中」との回答は17%の他、「テレワークを実施してみたい」も28%。現在、仕事の10%以上をテレワークで実施中の815人は70%が「自宅の環境を変えた」としている。その内容で最多は「仕事の資料、PC等の置き場、収納スペースを作った」が28%、「ネットワーク環境を整えた」26%、「部屋の一角に仕事用のスペースを作った」が24%だった。

リクルートでは居住者がリビング内にワークスペースを設置する動きがあると指摘。改装し小部屋を作る以外に、パーテーションを設置し簡易的に作るケースも紹介した。また、注文住宅の事業者では書斎の設置の提案も行われているという。

さらに、テレワーク活用により都心から郊外に引っ越しの動きも見られる。リクルートの調査では先述の仕事の10%以上のテレワーク実施者の10%が既に引越しし、27%が前向きに引っ越しを検討、15%が検討はしていないが引っ越ししてみたいと、過半数が引越ししたか前向き。またテレワークが導入・促進された場合、57%は通勤時間が長くなることを許容している。

リクルート住まいカンパニーSUUMO(スーモ)編集長の池本洋一氏は東京都中央区で行われた記者発表会で、「調査ではテレワークをきっかけに引っ越しと自宅整備をした人の生活満足度は16%上昇している」と指摘。今後、注目の郊外の街として、自然が魅力の湘南(神奈川県)や軽井沢(長野県)、ターミナル駅でサテライトオフィスの整備も見込まれる大宮(埼玉県)、立川(東京都)、柏(千葉県)などを挙げた。

スーモの池本編集長は、テレワークが住宅市場に及ぼす影響を解説した

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