3年生、冬物語 vol.4 私が東龍を選んだ理由 佐藤華純(3年)

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 春の高校バレー女子決勝の舞台。東九州龍谷(東龍)の背番号1を背負う佐藤華純(3年)は、最初に名前を呼ばれ、先発メンバーとして華やかにライトアップされたセンターコートに立った。「自分の役割はブロック。形を意識して前に手を出す」。何度も監督やコーチに言われたことを言葉にすると、少しだけ緊張が和らいだ。

 「大分で生まれた私にとって春の高校バレーで日本一に何度もなった東龍は憧れだった。高校でバレーを続けるなら強いところでやりたかった。自分の限界に挑戦したかった」と城南中学(大分市)から入学した。小学3年からバレーボールを始め、中学でJOC都道府県対抗中学バレーボール大会に2度出場したのが主な実績だ。日本一を胸に15歳の春に自宅を離れ、女子バレー部員と共に寮生活に入ったが、全国から入学してきた優れた選手や先輩たちのレベルの高さに衝撃を受けた。「練習についていけず、何度も心が折れた」(佐藤)

 過去2度の春の高校バレーは2階のスタンドから応援した。最終学年になるとメンバーには入ったが、コートに立つことはほとんどなかった。焦りと諦めが入り混じり、練習に集中できなかった時、竹内誠二監督から「過去に大分出身の選手が3年の最後の大会でレギュラーになり、日本一の原動力になった。諦めずに頑張れ」と言われた。「自分の役割は何かと考えたら答えが出た」と佐藤。得意のブロックの強化に全神経を注いだ。手の形、足の位置、助走の軌道、タイミング、飛んだ後の大勢…細部にこだわって練習から真面目に取り組み、監督や同級生にアドバイスを求めた。

高校最後の大会で優勝できてうれしいと語る佐藤華純

 夏を過ぎた頃から紅白戦で「ブロックが面白いように決まることがあった」と自信を深め、秋の茨城国体では先発の座を射止め、準優勝に貢献する。「ようやく東龍の一員になれたと思った」。その後は先発に定着し、春の高校バレーでは全5試合に出場。因縁の対決となった準決勝の金蘭会(大阪)戦では、フルセットまでもつれ込んだ第5セットで相手エースをブロックでシャットアウトし、勝利を決定づけた。「試合が終わってないけどウルッときた」と、これまでの努力が報われたビッグプレーに涙がこぼれた。東龍に入学して自分史上最高のプレーとなった。

 金蘭会に勝利し、「日本一は確信した」。決勝でも東龍の高い壁として相手の攻撃を無効にし、チームに勢いをつけるプレーを披露した。「東龍に入学して辛いこともあったけど、ここでしかできない経験をした。日本一を本気で目指せたし、実現することができた。同じ目標を持った同級生と過ごした3年間は最高の思い出だし、忘れることのできない経験になる」。日本一になった直後、東龍でバレーボールを続ける意義を語った。「東龍は地元の高校。私にだって3年間頑張れたのだから、大分から日本一を目指したい人は東龍に来てほしい。すごくいい経験ができると思う」

ブロックでチームの勝利に貢献した

(柚野真也)