横須賀の新フェリー航路巡り、港運協会長「不安と不満」 市に改めて反対表明

完成自動車を積み出す自動車運搬船が接岸する新港ふ頭=横須賀市新港町

 2021年春に開設予定の横須賀港(神奈川県横須賀市)と北九州港(福岡県北九州市)を結ぶ新フェリー航路を巡り、横須賀港運協会の鈴木稔会長(相模運輸倉庫社長)は17日、横須賀市内での横須賀港運関係5団体の賀詞交換会で「大きな不安と不満を感じている。市にはいったん計画を中断した上で十分な協議を願う」と述べ、同協会として改めて反対の意思を示した。

 主催者としてあいさつした鈴木会長は「毎日大型トレーラー300台が往来するが、住民の安全確保ができるか疑問。国際貿易港の機能が保たれるのかも、重要な問題」などと指摘。同規模のフェリーを就航している他県の港を視察するなど検討した結果、フェリーが就航予定の新港ふ頭では、「共有共存できない」と強調した。「(港運関係者は)長年、市内経済の一端を担ってきた。それを犠牲にしてまで強行しないよう願う」と市にくぎを刺した。

 一方、来賓として出席した田中茂副市長は、「問題点や、課題が多いとの指摘があった。丁寧に説明したい。一緒にやっていけるものだと思う」と理解を求めた。

 新航路は日曜を除く週6便運航し、宅配便貨物や農産産物、工業製品を運ぶ予定で、旅行客も期待されている。

 新港ふ頭では現在、輸出用完成自動車の積み出しや輸入の冷凍マグロの荷役が行われている。同協会は、フェリーが就航するにはふ頭は手狭で、既存の港運事業者の活動に大きな影響が出るとしている。

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