「ながら運転」厳罰化、防止アプリに企業が注目 走行検知、スマホ画面をロック

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車での走行を検知して、操作を制御する「ながら運転防止」アプリの画面

 スマートフォンなどを操作しながら車を走行させる「ながら運転」の罰則が強化されたのに伴い、スマホを使った防止アプリという新たなサービスが注目を集めている。開発・提供するIT関連会社や保険会社には、厳罰化した改正道交法が施行された昨年12月以降、問い合わせが相次いでいるという。(津田和納)

 「運送会社や営業車を抱える企業からの問い合わせが絶えない」と話すのは、カナダのブリティッシュ・コロンビア(BC)州に拠点があるIT関連会社「イーブレーキ テクノロジーズ」の日本担当の山川雅弘さん(55)=東京。同社は約2年前、走行中にスマホを使えないようにするアプリを開発。衛星利用測位システム(GPS)で一定以上の速度が感知されればスマホ画面がロックされる仕組みで、厳罰化に合わせ日本でも配信を始めた。

 同社によると、移動距離が長い北米地域では「ながら運転」による事故の増加が社会問題化。カナダ国内では、飲酒運転の6倍の危険性があると指摘され、防止策の模索が続く。最近では、ながら運転の撲滅を掲げるBC州の自動車連盟が、所有するレッカー車への搭載を決めたという。

 昨年12月になり厳罰化の報道が相次ぐと、国内の企業からの問い合わせが目に見えて増加。山川さんは「ながら運転で事故を起こすと、企業のブランド価値も傷つく」と指摘。「対策を講じることが、企業の社会貢献にもなる。今後、ますます取り組みに熱が入るだろう」と予測する。

 損害保険会社もサービスを展開する。損保大手「三井住友海上火災保険」(東京)は、走行中のスマホ使用を車載器で検知し、スマホのアプリで制御する「FOUR SAFETY(フォア セーフティー)」の提供を順次始めている。

 車載器は4千円程度だが利用料は無料。同社は「保険の契約者以外にも幅広く利用してもらえるサービスにした。積極的に事故防止に取り組むことが、企業の新たな価値をつくることにつながる」とする。

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■違反点数、反則金3倍に ながら運転厳罰化で摘発大幅減

 厳罰化で「ながら運転」の違反点数や反則金は従来の約3倍となり、酒気帯び運転と同様、刑事罰の対象となった。「携帯電話使用等違反」のうち、携帯電話を手に持って通話したり、画面を注視したりする「保持」は10万円以下の罰金に。使用により事故を起こす「交通の危険」を生じさせた場合は、30万円以下の罰金。いずれも懲役刑が適用され、「交通の-」は免許停止処分の対象になる。

 兵庫県警交通企画課によると、ながら運転の摘発は2018年12月の1カ月間で1554件あったが、厳罰化後の昨年12月は905件と約42%も減少した。同課の担当者は「厳罰化されて以降、気を付けようという機運が高まっている」とする。

 県警は厳罰化に先立ち、昨秋ごろから広報や啓発活動も強化。昨年10月には東灘、灘、芦屋署が合同で特別取締隊を発足させた。

 篠山署は昨秋、地元の自動車教習所と連携し、「ながら運転」を体験できる教室を開催。参加者がスマホを操作しながら運転したところ、ウインカーを出し忘れたり、蛇行をしたりと危険な運転が見られたという。(津田和納)