【社説】通常国会開会 「政治不信」放置するな

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 「政治とカネ」を巡る疑惑をこれほど抱えたまま、召集されたのは異例だろう。きのう開会した通常国会である。

 安倍晋三首相は施政方針演説で、東京五輪・パラリンピックを成功させ、新しい時代へ踏み出そうと国民に呼び掛けた。

 野党には、新しい国のかたちとして憲法を巡る論議を進めるよう求めた。首相の悲願なのだろうが、国民の政治不信を一掃させるのが先ではないか。

 「政治とカネ」の問題で昨年秋、大臣2人が辞任した。首相主催の「桜を見る会」を巡っても疑惑はくすぶり続けている。このまま政治不信を放置するのか。任命責任も含めて、安倍首相自身の姿勢が問われている。

 公選法違反の疑いで秘書らが事情聴取されている、河井克行前法相(衆院広島3区)と妻で参院議員の案里氏はきのう国会に出席した。政治不信を招いたことを認めて謝罪したものの、2カ月半も雲隠れしていた上、捜査中を理由に詳しい説明は避けたままだ。

 案里氏が初当選した昨年7月の参院選では、首相や菅義偉官房長官らも広島に駆け付けて応援のマイクを握った。首相は改めて説明責任を果たすよう河井夫妻に働き掛ける必要がある。

 公設秘書が有権者に香典を渡した疑惑が報じられ、経済産業相を辞任した菅原一秀氏もきのう久しぶりに公の場に出てきた。しかし疑惑について詳しい説明はしなかった。

 3人とも議員辞職どころか自民党を離党しないことも明言している。真相を曖昧にしたまま時間が過ぎるのを待つかのような甘えを許しておいてはいけないはずだ。トップの姿勢に倣っているのだろうか。ならば与党としての責任も問われていると言えよう。

 「政治とカネ」の問題では、カジノを含む統合型リゾート施設(IR)を巡って、担当の元副大臣が贈賄の疑いで逮捕された。IR参入を目指す中国企業側から金銭を受け取った疑いが持たれている。他の自民党議員らも事情聴取されている。

 政府は、整備地域の選定基準を盛り込んだ基本方針の決定を先送りする方針だが、カジノに対する国民の不安感は根強い。まずは立ち止まって、事業の是非を含めて見直すべきだ。

 「桜を見る会」の疑惑では、首相が自身の後援会関係者を大量に招待していたのに、「個人情報」を盾に詳しい説明をしないままだ。預託商法が問題視されたジャパンライフ元会長を招いていた可能性も指摘されている。首相自身が説明責任を果たさなければ、疑惑を晴らすことはできまい。ほかの議員に模範を示すことにもなるはずだ。

 この疑惑では、招待者名簿を「行政文書ファイル」に記載しなかったことが発覚し、公文書管理法に違反するとして、関係職員が処分された。

 森友・加計学園問題で批判をかわしてきた手法を思い出させる。相次ぐ法令違反は忖度(そんたく)の域を超えている。こうした官僚の姿勢も、国民の政治不信を高めているのではないか。

 首相は昨年11月、通算在職日数が憲政史上最長となった。それにふさわしい振る舞いを心掛けるのであれば、今のままではいけまい。自らの疑惑や政治不信に正面から向き合い、国民に説明を尽くすことが必要だ。

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