温泉宿の無断キャンセル相次ぐ

7施設で250万円被害 同一名義の男性が予約

©株式会社下野新聞社

無断キャンセルされた露天風呂付き特別室=20日午後7時5分、那須塩原市塩原の「湯守 田中屋」

 那須塩原市や日光市など温泉地のホテル・旅館7施設で1月2、3の両日、同じ名義人の宿泊予約の無断キャンセルが相次いでいたことが20日、分かった。少なくとも計約250万円の被害が出ており、被害施設はさらに増える可能性がある。同一男性とみられる人物が高級な部屋を電話予約した。施設側は県警に相談しており、21日にも一部被害届を提出する予定。民事訴訟も検討している。

 被害が確認されている宿泊施設は那須塩原市3軒、日光市2軒、那須町2軒。

 被害に遭った那須塩原市塩原の「湯守田中屋」は1月2日、男女10人分の宿泊予約を無断キャンセルされた。最上階の露天風呂付きの特別室2部屋で、被害額は計36万円。

 昨年8月末に男性から電話で予約を受け、予約確認書とパンフレットを千葉県内の住所に郵送した後、予約日の10日ほど前に確認の電話を入れたが、通じなくなっていた。追って請求書も送ったが、「転居先不明」で返送されたという。

 県旅館ホテル生活衛生同業組合青年部を通じて照会したところ、他の宿泊施設6軒でも、1月2、3の両日に無断キャンセルの被害があったことが判明。昨年8~11月に名義、住所、電話番号が同じ人物から10人分の宿泊予約があり、連絡がつかなくなった後、無断キャンセルされた。いずれも露天風呂付きなど高級な部屋だったという。

 湯守田中屋の田中三郎(たなかさぶろう)社長(61)は「お正月は一番の売り時。10人というのはこれまでにないケースで、ショックだ。旅館としてはお客さまの確認が取れなくても勝手にキャンセルはできない」と胸中を語った。

 1月3日に露天風呂付き客室を無断キャンセルされた日光市の鬼怒川温泉のホテルは「部屋だけでなく宴会場も食材も担当する人も用意した。ほかのお客さまを断っており、機会を損失してしまった」と憤る。

 塩原温泉の別の旅館には、無断キャンセルした男性と同じ名前の人物を含むグループが8人で宿泊していたという情報もある。

 現在、被害に遭った施設は連絡を取り合い、個別に地元警察署に相談するなどして対応を検討している。

 塩原温泉旅館協同組合の理事長を務める田中社長は「こうしたことがあると、繁忙期の予約は前金を払ってもらうなどの対策を考えなくてはならない。各施設に見合った対策を考えていくのが今後の課題」と話した。