【おんなの目】

多弁症

©株式会社サンデー山口

 近頃、〝おしゃべり”になったと思う。私は、幼い時は全くしゃべらず、十代頃から友人達とだけはおしゃべりをして笑いあった。親戚の集まりの席には出来る限り出席せず、ご近所さんとは会話しなかった。近所のおばさんの姿が道の先に見えると、遠回りして学校に行った。挨拶すら嫌だった。

 六十代頃から、私はおしゃべりになった、と気づき始めた。必要でもない事をだらだらとしゃべる。自分の頭に浮かんだ事をその時の会話の脈絡に沿わないのにしゃべる。ここ数年、七十歳を過ぎたら一段と顕著になった。

 小さい子を連れたお母さんを見つけると、まずにっこり笑い近寄る。赤ちゃんや幼い子に触りたいのだ。あのふっくらとした柔らかそうな頬や手、小さな頭。お母さんに「可愛いお子さんね。何歳ですか」と言いながら、赤ちゃんが伸ばしてきた手に触る。ヨチヨチ歩きの子供は指を立てて自分の歳を教えてくれる。「まあ賢いわね」と言いながら頬をチョンチョンとつつく。「大きくなったらきっとお母さんを支える大きな力になるわよ。楽しみね」なんて言わなくてもいいことを付け足す。

 老人になって人懐かしくなってきているのか? 知らない人に子供を触られてはお母さんは警戒する。迷惑をかけていそうだ。老人性多弁症というものがあるのか? 疾患か?