クリヘムに脚本を激推しされた『ジョジョ・ラビット』 スカヨハ、母親役でアカデミー賞Wノミネート!

『ジョジョ・ラビット』スカーレット・ヨハンソン© HFPA

「脚本を読んで、この映画が宝物であることがすぐに分かった」

アカデミー賞作品賞・助演女優賞(スカーレット・ヨハンソン)・脚色賞・編集賞・美術賞・衣裳デザイン賞と見事6部門にノミネートされた『ジョジョ・ラビット』。

第二次世界大戦下のドイツで、ユダヤ人少女を自宅にかくまい腐敗したナチス権力に抵抗する、10歳の少年ジョジョの母親ロージーを演じたスカーレット・ヨハンソンのインタビューをお届けする。

―どういった経緯で出演を決めたのですか?

脚本を発見したことがすべての始まりね。この『ジョジョ・ラビット』については、『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018年)の撮影中にクリス・ヘムズワースから聞いていたの。クリスはタイカ・ワイティティ監督と『マイティ・ソー バトルロイヤル』(2017年)の撮影を終えたばかりで、「タイカの素晴らしい脚本を読んだんだ」と興奮して教えてくれた。「絶対に読んだほうがいい」と言われて、それから数ヶ月後、私のエージェントのもとに脚本が届き、ついに目を通すことになったの。これまでの人生で数え切れないほどの脚本を読んできた私には、これが完璧な宝物であることがわかった。

『ジョジョ・ラビット』©2019 Twentieth Century Fox Film Corporation and TSG Entertainment Finance LLC

タイカらしい遊び心や子供らしさがありながら、とても辛辣で悲痛に満ちた作品で、これほど明確なビジョンで書かれた脚本は珍しい。ロージーというキャラクターにも惚れ込んで、なんとしても出演させてもらいたいと思ったの。それでタイカに会うことになった。同じMCUファミリーだから連絡は簡単で、「とりあえず一杯飲みましょう」ということになった。私は自分を売り込みたいと思っていたし、きっと彼もわたしを説得したいと思っていたはずなんだけど、その時はどういうわけか映画についていっさい話さなかったの(笑)。

―(笑)。

ただ、「もし私が必要だったら教えて」と言っただけ。彼は「オーケー、最高」と返事をして終わり。次に会ったのは現場だった。

『ジョジョ・ラビット』©2019 Twentieth Century Fox Film Corporation and TSG Entertainment Finance LLC

―あなたもワイティティ監督もユダヤ系ですが、実際に起きた悲劇をこうした風刺として描くことについてどう思いますか?

ダークな物事を処理するために、ユーモアはとても有効だと思うの。コメディを使うと、相手は防御を下げてくれるから。だから、とてもパワフルなメッセージを伝えるための武器となりえる。トロント国際映画祭ではじめて観客と一緒にこの映画を見たとき、目の醒めるような経験をしたの。前半で観客は爆笑していたのね。でも、その後、映画のなかでとても暗く悲しいことが起きる。すると、劇場が静寂に包まれた。あれは、素晴らしい舞台と同じだった。物語と観客の波長が完璧に合わさった状態。あの瞬間、私はやっとホッとしたの。この題材で笑ってもらっても大丈夫だ、と。みんなに重要なメッセージがきちんと伝わるから。

「親になったことで自分のハートが一つ増えて、子供を無限に愛せるようになった」

『ジョジョ・ラビット』スカーレット・ヨハンソン© HFPA

―あなた自身もかつては子役でしたが、女優として歩んでいこうと決意したのはいつ頃ですか?

子役時代にはたくさんの素晴らしい思い出があるの。仕事を愛していたし、たくさんのドラマチックでエキサイティングな経験をさせてもらった。『モンタナの風に抱かれて』(1998年)に出演したときに、「ああ、これが演技なんだ」と悟る瞬間があった。それまでは自然なままで演じていたんだけど、あのときから演技をするということはどういうものか、理解しはじめた。あの発見によって人生が変わったと言えるわね。

―子役をやっていて、逆にマイナス点はありましたか?

家を留守にすることが多くて、寂しく感じることがあったわ。お母さんはいつも一緒にいてくれたけど、家族が恋しかった。自宅を離れ兄弟と会えなくなると、自分のなかに穴があいてしまったような気分を味わうことになった。いまではこの仕事をこれまで以上に愛している。子供の時から愛している仕事を続けていられることに感謝しているわ。

『ジョジョ・ラビット』©2019 Twentieth Century Fox Film Corporation and TSG Entertainment Finance LLC

―母親になったことで、演技の幅が広がりましたか?

役者としては、役柄に求められていることをこなすだけ。キャラクターと同じ経験があろうとなかろうとね。もっとも大事なのは、キャラクターに共感すること。ただ、親になったら自分のハートがひとつ増えたような感じで、おかげで子供を無限に愛することができるようになった。他人のためにどんなことでもできると思えるようになったのは、生まれて初めて。この感情は役者としてとても役にたっているの。

『ジョジョ・ラビット』©2019 Twentieth Century Fox Film Corporation and TSG Entertainment Finance LLC

これまでは母親役をやったことがなかったんだけど、『マリッジ・ストーリー』、『ジョジョ・ラビット』と立て続けに挑戦することになった。自分の経験を役立てることができるのは、とてもありがたいことね。人生経験が増えれば、より大きなパレットを使って絵を描くことができる。母親になったことで、役者として成長することができたわ。

取材・文:小西未来

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