IR汚職事件や野党合流から 大津・京都市長選の展望まで #選挙ドットコムちゃんねる 第9回#1

今回は、レギュラーの松田馨さんの代わりにJX通信社代表取締役の米重克洋さんが解説ゲストを務めます!
選挙トピックスのほか、イロイロあった年始の時事についても切り込みます。

2020年最初の選挙は泊原発のある北海道泊村の村長選からスタート!

千葉 「今週の選挙ドットコムちゃんねるも、最近の選挙に関するトピックを紹介する選トピからスタートです。まずは、北海道泊村長選挙の結果が出ました」

乙武 「これが2020年、1発目の選挙ってことになるんですね。
どんな結果になったかというと……、あれ?なぜか当選した高橋鉄憲さんのお写真がない!」

(選挙ドットコムのデータベースにお写真がなく、ご紹介できませんでした。申し訳ありません)

千葉 「お顔、見たかったですね。でもこちらの選挙は12年ぶりの新人同士の選挙ということで、投票率は85.4%。投票率はすごくいいですね」

米重 「705票対472票と、票数だけみると少ないように思えますが、村での選挙ですからね。
北海道泊村と言えば、泊原発の地元でもありまして、そういった意味では原発再稼働に反対ではない、という立場の方が当選されたわけですね」

乙武 「なるほど。それでやはり投票率も高いのかな」

大津市長選は与野党一騎打ち 京都市長選はがっぷり三つ巴の戦いに!?

千葉 「続いて大津市長選です。こちらは新人同士の与野党対決になりました。当初、立候補者がたくさんいて混戦になるのではという予想でしたが、意外に立候補者は少なかったですね」

米重 「3人か4人出ると言われていたんですが、ふたを開けてみると現職越市長の後継者と言われるこにし元昭さんと元県議のさとう健司さんが立つと。 どちらも無所属としての立候補ですが、国政与党はさとうさん、国政野党が小西さん側を事実上支援する構図になりました」

乙武 「あれ、ちょっと待って? これこにしさんの方が年上なんだね(こにし氏は50歳、さとう氏は46歳)。さとうさん、オレの3つ上だよ。シルバーグレイで渋い感じ。でも顔はやっぱり若々しいね」

千葉 「髪を黒く染めたほうが若者にはウケそうですね」

乙武 「あ、そう?」

米重 「そうすると印象的にもいい勝負で確かに若者ウケはいいかもしれないですね」

乙武 「これ、共産はどうすんのかな? まぁ自主投票にしても自民側に共産支持の人が入れることはあんまりないと思うけど」

米重 「自主投票ですね」

乙武 「19日投開票ってことは今週末ですね。次回の放送時には結果が出てるってことか。結果に注目だな」

千葉 「次は2月に行われる京都市長選です」

乙武 「門川さんが現職4選目ってことで強そうに見えるけど」

米重 「通常は現職有利な市長選ですが今回、ちょっと違うのは、村山祥栄さんという方の存在です。この方、無所属とはなっていますが、立場としては保守系といっていいと思います。

もともと京都党という地域政党の方で、大阪で言うと維新の会みたいなね、市議会では一定の勢力を持っているんですね。

その京都党の代表を辞めて、離党するという形で今回無所属で立候補されました。なので、本来なら門川さんに集中することもあった保守系の票が、今回は村山さんと分け合うことになるのではとみられています。

そうなると福山さん、この方は共産党推薦で出られていますけど、京都は以前から共産党が強い土地柄なんですよ。

この前の参院選でも、2議席目は共産党の候補が取っているという土地柄ですから、そういう意味ではいい勝負になるかもしれない。ということで地元は今、非常に盛り上がっているんじゃないかなと思います。

先日、私も京都に行ったんですけど、ものすごい量のポスターが、とくに門川さん、福山さんのポスターが至る所に貼ってありまして、いかにも『選挙が近いぞ!』っていう雰囲気が、色濃く漂っていましたね」

乙武 「村山さんが選挙に出ることで、現職の門川さんへの批判票が福山さんに流れるはずが、村山さんにも流れちゃうってことはないんですか?」

米重 「そういう側面ももちろんあります。やっぱり単純に保守か革新かっていう構図だけではないですからね。

たとえば地元の事情に関して言うと、現職の門川さんは3期の間、インバウンドを増やそうと、観光客を積極的に呼び込む政策を取ってきた方なんですね。

で、その一環として一畳の大通りを、観光客が安全快適に歩ける道にしようということで、道の舗道を広げたんです。

でもそうすると車線は減るわけですよ。そうしたら『京都の交通事情が悪くなった』という批判をする地元の方もいらっしゃるわけです。

そういうローカルな争点、街づくりなどの点での政策の違いというのも出てくるわけですね。
こうした門川市政をこれまで3期続けてきましたが、もう1期続けますか? というところで、有権者は選択を迫られているという面もあるわけです」

乙武 「ところで、解散総選挙が近いのではというところで、野党統一候補を出していこうという流れがあるわけですが、立憲や国民も自民系が応援している門川さんに乗るっていうのはどういう事情なんですか?」

米重 「立憲でも京都で力を持っているのは、福山幹事長で国民側は前原さん。どちらかというと保守の色がある人たちの地元なんですね。これは民進党時代からそうなんですが。

そういう流れで、いくら野党共闘とはいえ、やっぱり地元で共産党と一緒にやるわけにはいかないと。そういう事情、配慮はあるのかなと思います」

乙武 「なるほど、いろいろあるんだね。これはええと2月の選挙ですね。これもどんな結果がでるのか、見逃せないな」

各党、各議員の思惑が入り乱れて迷走中? どうなる野党合流

千葉 「では今度は、注目時事行きましょうか。2020年になって、いきなりいろいろなことがありましたけれども、おふたりが気になったのはどんな時事トピックですか?」

米重 「個人的には、野党合流協議ですね。去年の年末にはまとまるんじゃないかとみられていたにもかかわらず、結論から言えばいまだにまとまらなくて持ち越しているってことで、さらにもっと先になるのでは、という見方もありますよね」

乙武 「僕、これはけっこう『赤松発言』が響いているんじゃないかと思うんだよね」

米重 「あー『玉木さんは代表代行にでもして、ちょっと脇に置いとけばいい』っていうアレですね」

乙武 「そう。あれ言われちゃったらさ、OKできないですよね」

米重 「まぁあれはわざと話をつぶそうとしているのか、何か牽制しているのかわからないんですけど、どうも友好的に話し合う雰囲気ではないのかな、っていう印象になりますよね」

乙武 「ねー。あれ言われたら玉木さんもスネちゃうよ」

米重 「まぁ水面下では、逆に国民民主党側でもいろいろ言っている人はいるようなんですけど、報道にバーンと出る形での刺激的な発言ではありましたよね、赤松さんのは」

副大臣云々に関わらず、国会議員の立場でお金をもらったらアウトじゃないの?

乙武 「僕はやっぱIR汚職事件が気になるんですけど。これね、秋元司議員は逮捕された。

でも、同じようにお金をもらったと認めた維新の会の下地幹郎議員は、これから自分で辞職するのかしないのか、って話になっていますけど、逮捕に至る至らないの線引きってどこになるわけですか? 同じように逮捕とはならないわけ?」

米重 「そうですね。今回、東京地検特捜部が秋元議員を立憲している容疑のひとつが収賄なんです。これは秋元さんが内閣府の国土交通省副大臣という立場にあるため、IRについては権限を持っているという認定で、賄賂をもらったという構図が成立するわけです。

一方、下地さんは、言ってしまえば、ただの国会議員ですので別に行政府で何らかの権限を持っているわけではないと。そのへんの立場の違いで、捜査機関としては今のところ手出しはしていないというところでしょうか」

乙武 「ただね、有権者からすると国会議員っていうのは、それだけで権力のある人なんだから、副大臣であろうがなかろうが、いろいろ利益供与をはかることはできるんじゃないのと。

そういう立場の国会議員がさ、IRに参入したい側からお金をもらうのはアウトじゃないのか、と思うんだけど」

米重 「それは多くの人が感じていることですよね。だからこそ、維新の会の松井代表も『議員辞職すべし』と勧告しましたし、維新の会としても除名処分を行いました。

地元紙の社説を見ても、たとえば沖縄タイムズでは辞職すべしという論調になっています。

あとは次の選挙のことですね。もし出られるんだとしたら、有権者がどのように判断するかです。
まあ下地さんは小選挙区で受かっているわけではないですからね。

次の選挙に関しては、本当に有権者がどのように判断して投票行動に表すかにかかっています」

乙武 「で、自民の人たちはどうなの?名前が挙がっている人が何人かいるけど、オープンにしてないよね?」

米重 「今のところほかに4人の名前が挙がっていて、もらったという人は1人いて、残り3人はもらってませんと言ってますねえ。今のところそういう状況ですが、ひょっとしたらこの人たち以外にももらっている人がいるんじゃないかともいわれています。

そういう人たちがこれから自分で白状するのか、そのまま口をつぐんじゃうのか、まあ、ひとつ見ておきたいポイントではありますね」

乙武 「当の議員側としては当然、そのまま行きたいんじゃないですか?これはもう文春さんとかにがんばってもらうしかないんじゃないですかね?」(スタジオ内大爆笑)

米重 「そ、そうですね。誰かがたれこまないと取材も進みませんので、文春さんががんばるのか、内部告発者ががんばるのかは、わかんないですけど」

乙武 「がんばれ、文春(カメラ目線)!珍しく応援しちゃったよ」

千葉 「議員さんでお仕事してるんですから、ちゃんとお金はもらってるじゃないですか、普通の人よりもたくさん。それでもこういうことが起きちゃうんですね」

米重 「政治家って歳費とか、入りのお金は大きいように見えるんですけど現実問題、政治活動とか選挙運動で相当のお金を使う人でもあるわけです。

あんまりお金持ってないといえば持っていない属性の人たちかもしれないですね。世間で思われているほど富裕な人たちではないので、そういうところにもしかしたら不正とかグレーなお金を受け取るとかの素地があるのかもしれません」

アメリカ・イラン情勢 積極的に巻き込まれに行っている安倍政権?

千葉 「ほかにもアメリカ・イラン情勢の緊迫化とか、ゴーン被告の国外逃亡などがありましたね」

乙武 「アメリカ・イラン情勢については日本の政治も関わってくると思うんですが、一般的な国民の感覚として一番気になるのは、日本は巻き込まれずに済むのかどうかってところだと思うんですが」

米重 「巻き込まれずに済むかどうかってよりも、安倍政権はすすんで仲介者になろうとしていて、むしろ進んで巻き込まれに行っている感じですね。

しかも2月には自衛隊もホルムズ海峡は除いていますけど、中東沖に派遣するということがすでに決まっていますから、そういう意味では、もう積極的に何らかの立場で関与せざるを得ないってところはあると思います。

そういう流れから、安倍さんも今週、中東を訪問していますし、自衛隊もこれから調査活動で現地に行くわけだし、そういうことの中で何かトラブルがおきないといいなあとみんな祈ってるって状況だと思いますね」

乙武 「ちょっと前の韓国との問題ではあれだけ威勢のいいことを言っていた、右がかった議員たちが、なぜか今回のことについてはごにょごにょって感じになったり、何にも発言してなかったりするので『あ、本当に外交や国際問題に強い議員と、ただ威勢のいいことを言いたいだけのエセ外交ツウの議員を見きわめるいい機会なのかな』って、有権者としては思いますよね」

米重 「そうですね。ちゃんと知識があって詳しい議員は、今回のアメリカ・イランのことについても、日本の微妙な立場、アメリカは同盟国でもあり、またイランは石油の関係もあるし元々が親日国家でもあるというようなところを理解したうえで、積極的に情報発信されている方もいます。

一方で、わかりやすく共感が得られやすいテーマのときだけ、まぁ日韓問題とかですね、そういうところだけで張り切って発言されている人というのもいますね。

そういうところはTwitterやブログなどのいろんな発信を見比べて、その議員の資質的なところをチェックする機会にはなるかもしれない」

乙武 「ぜひみなさんも、いろんな議員の発言をチェックしていただいて。選挙だけじゃなく、日頃からの活動や発言を投票の参考にしてほしいですね」

米重 「ですね。選挙期間中はどの議員もいいことしか言わないし(笑)」。

乙武 「では今回はここまで。動画の高評価とチャンネル登録、よろしくおねがいします!」

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