デロイト、第四次産業革命に関して日本企業は事業機会と捉える戦略視点が弱いと発表

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デロイトは、世界の経営者の第四次産業革命に関する意識調査を実施した。これに関して、デロイト トーマツ グループは、日本の経営者の回答結果について発表した。同調査は第四次産業革命期における経営者の意識を戦略・人材・技術・社会の領域に渡って示すことを目的としており、今回の調査で3回目となる。

同調査は、2019年7月から9月にKS&R Inc.の協力により実施し、アメリカ、アジア、ヨーロッパの19カ国において大手企業経営者(CEO、社長、CFO等の上級役員クラス)2,029名から回答を得た。このうち日本からの回答は146名だ。回答者は全て、年間売上高5億米ドル以上の企業経営者であり、うち年間売上高50億米ドル以上の企業が52%を占めた。

同調査からは以下の3つの傾向が分かった。

  • 世界の経営者は第四次産業革命を通じて経済価値と社会価値の創出を同時に追求する傾向に
    第四次産業革命への投資から望む成果について上位5つの回答を集計したところ、「収益拡大」、「生産性・効率性向上」「顧客との関係強化」「社内/業務コスト削減」「リスク管理向上」といった項目を挙げた経営者の割合が高かった。(トップ画像参照)

特に日本の経営者は、これらの項目について高い期待を抱いている。世界全体では、約6割の経営者の回答が「ポジティブな社会影響力増大」に集まっており、第四次産業革命を通じて経済価値と社会価値の創出を同時に追求する傾向が高まっている結果となったが、日本では同項目に回答した経営者は約4割にとどまった。

社会課題解決の取組みに注力する理由は、世界の経営者は「収益創出」(42%)を最も多く挙げたが、日本は1%と低く、社会課題を収益創出の事業機会と捉える戦略視点の弱さが浮き彫りとなった。世界全体では、自社の収益創出を筆頭に、外部ステークホルダーや従業員等への対応、規制順守、企業としてのレピュテーションの向上、事業戦略・文化の一部などの項目が挙げられた。これは、世界の経営者が社会課題解決を経営戦略の一環として取り組みながら、様々な関係者を対象に推進していることを示している。

日本の経営者は、社会課題解決への取組みの理由として「外部ステークホルダーの優先事項」、「従業員との関係強化、新規採用」に回答が集中し、直接的な利害関係者からの要請や期待への対応に重きを置いていることが分かった。世界平均に比べ、社会課題解決の取組みをまだ実施していないことも示された。

一方で、日本の経営者が最も注力・対応していると答えた気候変動に関する質問項目では、「自社業務に負の影響を及ぼす」(99%)、現世代の責任として「気候変動に対処する」(82%)と、高い回答を示した。こうした結果から、日本企業は気候変動に代表される社会課題解決を、リスクマネジメントやCSR(企業の社会的責任)への対応の観点でとらえる傾向が依然強いことが分かった。

デロイト トーマツ グループの戦略コンサルティング部門であるモニター デロイトのジャパンプラクティス リーダー藤井剛氏は、同調査結果について次のようにコメントした。

「テクノロジーの発達と、気候変動や格差などに由来する社会の急激な変動の下、市場は2030年に向けて『産業革命』とも呼べる変革の時期に突入していますが、今回の調査は、グローバルに比して日本のビジネスリーダーのマインドセットが十分に切り替えられていない実態を浮き彫りにしました。」

続けて「勃興しつつある新たな資本主義において、競争優位を構築し市場で勝利するために、経営者は、ビジネスの競争軸・成果のモノサシ・経営サイクルを変革する『経営革命』にも勇気を持って立ち向かう必要があります。」と語った。