武蔵小杉タワマン住民が要望書 台風で浸水、再発防止求め

福田市長(右)に要望書を手渡すNPO法人「小杉駅周辺エリアマネジメント」の安藤理事長=川崎市役所

 台風19号の大雨により多摩川の水が排水管を逆流して川崎市内の多数の地域が浸水し、武蔵小杉駅(中原区)周辺のタワーマンションが立ち並ぶ街中にも泥水があふれ出した問題で、タワーマンション12棟の管理組合などが21日、再発防止策の実施などを求める要望書を連名で市に提出した。

 12棟が加盟するNPO法人「小杉駅周辺エリアマネジメント」の安藤均理事長が福田紀彦市長に手渡した。福田市長は「水害対策についてはいろいろな声をいただいており、年度末に向けて検証作業を進めている。しっかりお答えできるようにやっていきたい」と述べた。

 要望書では、▽樋門(水門)の逆流防止策の検討と実施▽住民への緊急連絡手段の確立▽避難場所の確保と避難所の総点検▽JR武蔵小杉駅横須賀線口の冠水対策の検討と実施▽予備電源などの高層階への移設または増設費用の補助─の5項目を「重要要望項目」として提示。3月末までの回答を求めた。ほかにも、計28項目を盛り込んだ。

 台風19号では、大規模な冠水により47階建てタワーマンションの地下3階の電気設備が浸水。停電と断水が続き、エレベーターやトイレが使えなくなった。市は、多摩川の水が市内5カ所の排水管を逆流したことを被害拡大の要因に挙げており、住民からは水門を閉じなかった市の対応を批判する声が上がっている。

 同NPO法人は、台風襲来直後から情報共有などでマンション間のパイプ役を果たしており、被災したマンションへの物資の提供や清掃活動などの支援のほか、マンション別の説明会の開催も後押ししてきたという。要望書の提出に当たってはマンション間で議論を重ね、12棟全てのタワーマンションの連名での提出にこぎ着けた。

 安藤理事長は「要望書は市の責任追及や賠償の獲得が目的ではない。これからの水害の未然防止と環境改善に焦点を当てている。必ずやってくる災害に対して同じことが二度と起こらないよう、少しでも多くの対策を実行してほしい」と求めた。

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