人造物が悉く新しい【私鉄に乗ろう98】三陸鉄道リアス線 その18

駅名標。旧駅は津波で流失。2019年3月からの三陸鉄道リアス線としての再開に当たって、新たに駅は1kmほど宮古側に移設して再建されました。実は歴史のある駅なのです。1936年(昭和11年)鉄道省山田線の駅として開業。1970年代までは旧国鉄の直営駅で駅長さんがいました。1983年(昭和58年)に無人化されます。国鉄の分割民営化でJR東日本の駅になり、既述の様に、東日本大震災で駅は流失、旧山田線釜石駅〜宮古駅間も不通になりました。2019年3月、釜石駅〜宮古駅間が復旧、同時に三陸鉄道に転換されこの新しい駅で営業が再開されました。

愛称の「鮭まつる川」は織笠川を指しているのでしょう。

ここも新しい路盤、新しいPC枕木です。

織笠駅が宮古側に1kmほど移設されたことで、陸中山田駅までの駅間はわずか1.2kmしかありません。

2011年(平成23年)の東日本大震災の報道で夜の海が燃えているというショッキングなニュース映像をご覧になった方も多いと思います。

それがこの陸中山田駅を焼失させた大火災でした。駅も周囲の建物も「シムシティー」で作った人工の街の様な奇妙な新しさしか無いのです。でも、駅を中心にした町作りは良いと思います。鉄道利用者が増えると嬉しいですね。

路盤も何もかもが新しい陸中山田駅。右側の上りホーム側に駅舎が作られています。

駅名標。愛称は「海のオランダ島」、オランダ島というのは山田湾に浮かぶ無人島、山田町などが主催する無人島ツアーが実施されています。1935年(昭和10年)鉄道省山田線の終着駅として開業。山田線は翌年岩手船越駅まで延伸開業。1987年(昭和62年)にJR東日本の駅になり、2011年(平成23年)の東日本大震災で駅は焼失してしまいました。2019年3月三陸鉄道リアス線の駅として再建されて再開です。

駅の跨線橋をくぐって進行します。

それでも新しい建物が増えている様で喜ばしい限りです。

山田トンネル(80m)。

新しい跨線橋の向こうに新しいビル。

ローカル線に乗っていると新しい建築物を目にすることは多くありません。しかし、旧山田線、現・三陸鉄道リアス線の被災区間を走っていると「古いモノを目にしない」という奇妙な恐怖感があります。それだけ何もかもが失われてしまったというコトなのです。

この風景にゆっくりと穏やかな歴史が育まれてゆくことを心から祈ります。

【私鉄に乗ろう98】三陸鉄道リアス線その19 に続きます。

(写真・記事/住田至朗)

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