【社説】大学入学共通テスト 受験生の不安解消急げ

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 今年で最後の大学入試センター試験が終了した。55万人以上の志願者があり全国689会場で臨んだ。世界史Bに出題ミスがあったものの、大きな混乱はなかった。受験生は自己採点結果を基に志望校を絞ったり、2次試験の準備に切り替えたりしていることだろう。

 来年からは思考力を一層重視した大学入学共通テストになるという。しかし記述式の導入などを巡って混乱が相次いだこともあり、出題内容などがどう変わるか分からず、来年の受験を見据える高校生、浪人生たちには不安が広がっているようだ。

 スムーズに移行できるよう共通テストの詳細を早急に決め、受験生の立場になって情報提供することが求められる。

 来年はどんな試験になるか分からないので今年決めたい―。最後のセンター試験に臨む受験生の多くから、そんな声が聞かれたという。共通テストを不安視する学生の率直な思いに違いない。

 大手予備校などによると、今年は例年に比べて国公立、私立大を問わず、難関大を敬遠する傾向が目立つという。確実に合格できる大学や推薦入試に流れているようだ。「安全志向」と言うこともできる。しかし受験生の身になってみれば、共通テストの出題がどうなるのか不明な点が多い。対策も立てにくいのだから、敬遠したがるのも無理はない。

 センター試験は1990年に始まったが、全国規模の大学入試は79年に国公立大を対象にした共通1次試験にさかのぼる。

 マークシート式に批判はあったが、試行錯誤して出題に改良を加えてきた。センター試験への移行後は、英語のリスニング導入をはじめ、幅広い学力を把握できるように努力を重ねた。

 私立大や短大を含め利用する学校が広がってきたことは、問題の質への信頼性や公平性の確保などが評価された証しでもあるだろう。

 来年スタートの共通テストは思考力や読解力を問うという。最後のセンター試験でも、出題の傾向に少し変化があったようだ。知識だけでなく背景を読み解く力をみる出題が幾つかあり、共通テストを先取りしていたと分析する専門家もいる。

 それでも共通テストに不安が根強い背景には、英語民間検定試験や国語・数学の記述式問題を巡るごたごたがある。格差拡大や採点ミスの懸念が拭えず、強い批判を浴びて見送られた。

 先週、入試改革の在り方を改めて話し合う文部科学省の検討会議の初会合があった。自らの「身の丈」発言で混乱を招いた萩生田光一文科相だが、2024年度をめどに英語入試を見直す考えを重ねて表明した。

 だが来年の共通テストの詳細を明らかにし、不安解消に努めるのが先ではないか。配点や試験時間をどう変更するかなど詳細を公表していない。共通テストを採用するか決めかねている私立大も多い。文科相は「必要な見直しを大学入試センターと速やかに行い、今月中をめどに公表する」と語ってはいるが、先が見通せぬ焦りを、受験生は募らせているに違いない。

 公平性と信頼性を確保できる仕組みを、文科省や入試センターは慎重にかつ早急に検討、決定する必要がある。これ以上、受験生を苦しめてはならない。

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