原爆症訴訟 「要医療性」統一判断へ 最高裁で弁論 2月25日判決

最高裁の弁論を前にアピールする原告の高井さん(前列右から2人目)、内藤さん(同3人目)と支援者=東京、最高裁判所前

 長崎や広島で被爆した女性が、原爆症認定を却下した国の処分を取り消すよう求めた3件の訴訟の上告審弁論が21日、最高裁第3小法廷(宇賀克也裁判長)で開かれ、原告の被爆者が意見を述べて結審した。原爆症の認定要件の一つ「要医療性(医療が必要な状態)」を巡り3件の二審判決の判断が割れており、最高裁が統一判断を示すとみられる。判決は2月25日。
 原告は、広島で被爆して白内障を患う内藤淑子さん(75)▽長崎で被爆して慢性甲状腺炎を患う高井ツタヱさん(83)▽長崎で被爆して白内障を患う女性(82)-の3人。
 原爆症の認定は、申請した病気などが原爆放射線に起因したもの(放射線起因性)で、現に医療が必要な状態(要医療性)の二つが要件となる。二審判決は3人とも放射線起因性を認めた。
 3人は原爆症認定を申請した時点で医師が症状を経過観察していたが、二審では要医療性について広島高裁と名古屋高裁が認定し、福岡高裁は認めなかった。上告審では、経過観察の状態が要医療性に当たるのかどうかが争点となる。
 弁論では、国側が「要医療性は治療が医学的に可能で必要とされる状態。経過観察だけでは足りない」と主張。原告側は「経過観察は重要な医療行為だ」と反論した。
 内藤さんと高井さんも出廷。内藤さんは「被爆者たちが生きている間に問題を解決してほしい」、高井さんは「苦しんで生きてきた被爆者を助ける判断を下し、希望を与えてもらいたい」とそれぞれ訴えた。
 原爆症認定訴訟を巡り最高裁で弁論が開かれ、被爆者が意見を述べたのは初めて。最高裁が判断を示すのは、弁論が開かれずに原告が勝訴した2000年の長崎原爆松谷訴訟以来となる。

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