2019年のF1視聴者数は約19億人。eスポーツ、ドキュメンタリーの配信なども増加の要因に

 2019年のF1の視聴者数は、テレビおよびデジタルプラットフォームの双方で継続して増加しており、世界全体の視聴者数は19億2200万人に達した。累計視聴者数は2012年以来最多となり、2018年と比較して9%の増加を見せている。

 市場の上位5カ国はブラジル、ドイツ、イタリア、イギリス、オランダと2019年も変わりはなく、これらの国が1億人を超える視聴者数を牽引している。

 しかし、いくつかの地域では例外的な増加も見られた。ポーランドではロバート・クビサのF1復帰によって視聴者数が256パーセント増加。中東や北アフリカの視聴者数も新規契約締結の恩恵を受けた。

 視聴者数はギリシャ(+75%)、オランダ(+56%)、イタリア(+29%)ドイツ(+23%)、アメリカ(+7%)中国(+5%)でも継続して成長が見られている。また2019年9月のF1第14戦イタリアGPは1億1200万人という最多視聴者数を生み出した。これは2016年の第19戦メキシコGP以来最も高い数字だ。

 F1はソーシャルメディアにおいても順調な成長を維持しており、フェイスブック、ツイッター、インスタグラム、YouTubeのフォロワー数は2490万人(2018年から32.9%増)に達している。F1のデジタルプラットフォームの閲覧者は10億人を超えており、2018年の数字のほぼ倍となった。

 メディア権利担当ディレクターのイアン・ホルムズは、2019年のF1視聴者数の伸びに満足している。

「かつてないほどにメディアは分裂した状況にあるため、現状維持を達成すれば“良し”とされることを認めるべきだと考えている。だから新たな増加が見られたことには、特に満足している」とホルムズは語った。

「何が成長を牽引しているかということについては、コース内外における多数の様々な要素があると考えている。概して2019年にはより魅力的なレースが行われ、さらなるストーリー展開もあった。エキサイティングな新人ドライバーたちが名誉をかけて戦いに挑んだのだ」

「また、我々は常に放送の仕方や捉え方を改善しようとしている。AWSの助けで新たなグラフィックを取り入れているし、様々なカメラアングルやポジションも導入されてきている。個人的に気に入っているのは、“ハロ上の”グラフィックだ。これは非常に素晴らしいと思った」

「また、コースを離れたところでの我々の努力が結実し始めていると考えている。我々は4回の素晴らしいファンフェスティバルを開催した。過去にないほどのデジタルコンテンツやゲームを導入し、さらにeスポーツシリーズも発展させた。Netflixの『Drive to Survive』シリーズは大成功を収め、F1への関心を失っていたファンや、気まぐれな新しいファンからの反響を得た」

「こうしたすべての要素は、たとえばF1の1000回目のグランプリ(2019年F1第3戦中国GP)に我々が注いだ努力のように、イベントマーケティングによる現在進行中のイベントと協調している。我々はかつてないほど多くの人々に向けて、数多くの様々な手段を通じて語りかけている」

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