伊勢原の花火大会、今春は休止 公園改修中、安全を考慮

多彩な花火が夜空を彩った、昨年の「いせはら芸術花火大会」の様子(実行委員会提供)

 神奈川県伊勢原市の一大イベント「いせはら芸術花火大会」が今年、休止されることが分かった。2019年度から打ち上げ会場の市総合運動公園(同市西富岡)でリニューアル工事が行われており、大会を運営する実行委員会は防火や警備対策を十分に取れないことなどから決断した。実行委員長の柏木貞俊さん(56)は「残念だが、安全面を考慮した。来年は開催したい」と話している。

 大会は、市民有志が「内陸の伊勢原に住む子どもたちに花火を見せてあげたい」と実行委を発足。「関東で最も早い花火大会」を目指し、09年から4月、または5月に開催している。

 実行委のメンバーは市内の企業や団体に協賛金を依頼したり、スーパーや飲食店に募金箱を設置したりして開催費約2千万円を確保。内閣総理大臣賞受賞の経歴を持つ愛知県内の業者が趣旨に賛同し、例年2千~4千発を打ち上げている。

 独創性と芸術性の高い花火が全国でも珍しい春に観賞できるとあって、市内外から例年約2万人が来場。10月の「伊勢原観光道灌まつり」に次ぐ、市の一大イベントに成長した。

 一方、市は19年度から22年度にかけ、公園のリニューアル工事を実施。利用者増を図るため、現在1基の遊具を高齢者用の運動器具も含めて15基に、駐車場も2カ所から5カ所にそれぞれ増やす。

 こうした事情を踏まえて、実行委が今年の開催を検討した結果、協賛金が思うように集まらない中で、花火の燃えかすから遊具を守る防火シートをより多く用意する必要があり、バリケードや鉄柵などの警備費も工事でかさむことから、今年の開催を断念した。

 資金不足や人手不足、東日本大震災の発生で、大会は10、11、16年にも開催が見送られている。柏木さんは「楽しみにしていた市民には申し訳ないが、来場者がけがなく安全に帰ることが大切」とし、「市民や企業に再び協力してもらい、来年以降は開催できるよう頑張りたい」と話した。

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