脅迫年賀状届いた「川崎市ふれあい館」 超党派議員が視察

川崎市の対応について意見を交わす有田氏(中央)ら議連メンバー=同市川崎区の市ふれあい館

 川崎市の多文化交流施設「市ふれあい館」(川崎区桜本)に在日コリアンの虐殺を宣告する脅迫はがきが年賀状として送りつけられたヘイトクライム(差別に基づく犯罪)を巡り、超党派の国会議員でつくる「人種差別撤廃基本法を求める議員連盟」(会長・白真勲参院議員)のメンバー7人が22日夜、同館を訪れ、市や館の運営法人、地元住民と対応について意見を交わした。国会議員からは市民の不安払拭(ふっしょく)を急ぐよう市への要望が相次ぎ「市長には差別を許さないというメッセージを出してほしい」との声が出た。

 脅迫はがきが届いているのが分かった4日から21日までの18日間の利用者は2315人で、前年同時期と比べて843人減っていることが報告された。県警の指導で出入り口を1カ所閉鎖するなどの対応を取ってきたが、警備員の配置も検討中という。

 国会議員からは「利用が減っているということは市民の権利が奪われているということ。市民の不安解消が先決」「市が被害届を出すことで警察の捜査も迅速化されるはずだ」といった意見が出た。

 ヘイトスピーチ解消法の制定に尽力した有田芳生参院議員(立憲民主)は、市が昨年12月に制定したヘイトスピーチに罰則を科す全国初の条例をたたえながら、「先駆的な条例をつくった福田紀彦市長を先頭に差別を許さない取り組みをしてもらいたい。それでこそ多くの人の不安を減らせる」と話した。

 被害届は指定管理者の社会福祉法人青丘社名義で今週中にも提出予定だが、桜本1丁目町内会の山口良春会長は「それでは逆恨みでまた館が攻撃を受ける。市が前面に立つべきだ」と話す。国会への要望を問われた臨港地区連合町内会の高野詔次会長は「問題が起きてからでは遅い。五輪も大事だが人権があってこそ成り立つ。ふれあい館の多文化共生の事業は全国一。国でも予防のための啓発や法整備に取り組んでほしい」と求めた。

 同館を所管する市青少年支援室の担当者は「町内会長の言葉は特に重く受け止めた。関係機関と連携しながら対応を検討する」と話していた。

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