球団売却「絶対にない」ロッテオーナーが明かす創業者・重光氏と岸首相の秘話

コーチ会議に臨んだ河合克美オーナー代行兼球団社長【写真:編集部】

コーチ会議で黙祷、1968年に元首相だった岸氏から打診され1度は断わるも…

 ロッテは22日、都内でコーチ会議を開催。開会前には19日に亡くなったロッテグループの創業者で球団オーナーも務めた重光武雄氏に黙祷が捧げられた。河合克美オーナー代行兼球団社長は、冒頭の挨拶で首脳陣に重光氏の思いを伝え、今季の優勝を誓った。

 黙祷が捧げられた後、「1968年、大毎オリオンズをサポートしてくれないかという話が岸(信介・元)首相からあった」と重光オーナーの秘話を語り始めた河合オーナー代行兼球団社長。当時のプロ野球は「お父さんと男の子が対象」だったため、ロッテの「女の子をターゲットにしたチョコレート」のブランドイメージと合わないため、1度は断ったという。

 しかし、「そのあと少ししてもう1度、岸首相からなんとか球団を支えてくれないかということで、重光オーナーは2度依頼されたのであればお引き受けしましょう」と1969年にロッテオリオンズが誕生した経緯を説明。1971年には正式に球団を買収し、岸氏が1987年に亡くなった後も球団を支え続けてきた。

 さらに近年、球団を売却するのではないかとの噂が出ていたことにも言及。「重光オーナーは1度としてそのようなことを口に出したことはないし、問われれば『そんなことはない』と。『なぜならば岸さんとの男の約束だから』と。こういう男気があったからこそ、ロッテという球団は脈々と続いているんです」と、完全否定した。

 印象に残っているのは「2005年に日本一を決めた後のオーナーの本当に嬉しそうな顔」。「重光オーナーがここまでずっと支援してきたロッテ球団、何が何でも今年は優勝しないわけにはいかない。今年優勝しないでいつ優勝するんだ、という年」と言葉に力を込め、「ぜひその気概を持って、選手たちに自覚させてください。最後の最後まで絶対に諦めずに優勝を目指しましょう」と首脳陣に思いを伝えた。(工藤慶大 / Keita Kudo)

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