【社説】「桜を見る会」名簿 官僚処分で幕にならぬ

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 安倍晋三首相主催の「桜を見る会」の招待者名簿を巡り、ずさんな公文書管理の実態が次々と明らかになっている。

 菅義偉官房長官が過去5年分の関連名簿の扱いについて、公文書管理法に違反する対応だったと認めた。国土交通省でも同様な法令違反があったという。

 政府自らが違法性を認めるのは極めて異例で、異常事態といえよう。

 何より政府はこれまで「ルールに基づいて適切に保存・廃棄してきた」との説明を繰り返してきた。それが根底から覆ったことになる。言語道断というほかあるまい。

 公文書管理法は、保存期間が1年以上の行政文書について、管理簿へ名称などを記載し、公開を義務付けている。廃棄する際も記録に残し、首相の同意を得る手続きが必要となる。

 ところが、内閣府は2013〜17年度の招待者名簿は保存期間が1年だったのに、管理簿に記載されていなかった。廃棄の記録も残されておらず、必要な手続きを取っていなかった。

 国交省は10年度から6年分の関連名簿について管理簿へ記載していなかった。

 記録が残っていなければ、本当に廃棄したのかどうか、確かめるすべもない。「既に名簿を破棄したので分からない」と繰り返してきた政府の釈明自体も成り立たなくなった。

 菅氏は法令違反を認めたものの、意図的ではなく「事務的な記載漏れ」とした。さらに通常国会直前の17日、招待者名簿に違法な管理があったとして、内閣府の歴代の人事課長計6人を厳重注意処分にした。

 桜を見る会を巡って問題視されているのは、第2次安倍政権発足後、招待者が年々増え続け、首相の後援会関係者や妻の昭恵氏の知人らが多数招かれていたことである。

 首相による公的行事の「私物化」があったかどうかが問われているのに、官僚だけに責任を負わせる形で幕引きを図ることなど許されまい。

 安倍政権下では、森友学園への国有地売却を巡る公文書改ざんや南スーダンに派遣した自衛隊の日報隠しなど公文書管理に絡んだ不祥事が後を絶たない。

 相次いだ問題を受けて改善が図られたはずだったのに、桜を見る会の問題を巡っては、むしろ後退した感が否めない。

 桜を見る会の招待者名簿は、保存期間が管理簿への記載義務がない「1年未満」に変更され、早々と廃棄された。招待者の選考が公正、公平だったのか検証する手だてが失われた。

 政府は個人情報を抱えるリスクを避けるためと説明するが、額面通りに受け取れない。都合の悪い情報を隠したと勘繰られても仕方があるまい。

 きのう始まった衆院の代表質問で、立憲民主党の枝野幸男代表が関係資料の再調査を求めたものの、首相は「名簿は既に廃棄されたと確認している。改めて調査を指示することはない」と述べるにとどまった。

 この答弁からは、公文書の取り扱いを巡って法律違反があったとの反省は見えてこない。

 首相に求められているのは、先頭に立って政府の公文書管理の在り方を検証し、再発防止策を講じることだ。一連の疑惑について、当事者意識を持って説明責任を果たすべきだ。

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