「リンヴォック(R)錠」について、関節リウマチ患者の治療薬として、日本における製造販売承認を取得

2020年1月23日
アッヴィ合同会社

アッヴィ、「リンヴォック(R)錠」(ウパダシチニブ水和物)について、既存治療で効果不十分な関節リウマチ患者さんの治療薬として、日本における製造販売承認を取得

●リンヴォック(R)はJAK阻害薬であり、既存治療で効果不十分な関節リウマチ(関節の構造的損傷の防止を含む)を効能又は効果とする、1日1回経口投与の新たな治療選択肢
●4,900名を超える中等度から重度の関節リウマチ患者さんを評価した大規模SELECT第III相試験のうち、5つの国際共同第Ⅲ相試験と国内第Ⅱb/Ⅲ相試験データに裏付けられた承認1-6
●SELECTプログラムの結果、ウパダシチニブは単独療法および従来型合成DMARDとの併用療法のいずれにおいても、関節リウマチの徴候および症状の改善、X線画像上の関節破壊進行抑制、および身体機能の改善を達成1-6

アッヴィ合同会社(本社:東京都港区、社長 : ジェームス・フェリシアーノ)は本日、ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬リンヴォック(R)錠(ウパダシチニブ水和物)について、既存治療で効果不十分な関節リウマチ(関節の構造的損傷の防止を含む)を効能又は効果とする製造販売承認を取得しました。リンヴォック(R)は低分子のJAK阻害薬で、1日1回投与の経口薬剤です。本承認により、リンヴォック(R)は中等度から重度の関節リウマチ患者さんに対して、従来型合成DMARDとの併用および非併用に関わらず、簡便な投与方法で高い効果が得られる、新たな治療選択肢となります。

本承認について、産業医科大学医学部 第1内科学講座 教授の田中良哉先生は、次のように述べています。「関節リウマチ治療は進化していますが、治療の選択肢が増え、治療アルゴリズムが確立された現在においても、未だ臨床的寛解を達成できていない患者さんや、治療に満足していない、あるいは治療の継続が困難な患者さんが存在しています。そこで、1日1回、1錠の経口投与によりアダリムマブを上回る効果を示したウパダシチニブが、関節リウマチ患者さんの新たな治療選択肢となり、QOL向上に寄与することを期待しています」

今回の承認は、4,900名を超える中等度から重度の関節リウマチ患者さんを評価したウパダシチニブのグローバルSELECT第III相関節リウマチプログラムのうち、5つの国際共同第III相試験データおよび国内第Ⅱb/Ⅲ相試験データ(SELECT-SUNRISE)に基づいています1-6。

5つの国際共同第Ⅲ相試験および国内第IIb/III試験の主な結果について
SELECT-COMPAREでは、MTXで効果不十分な患者さんにおいて、ウパダシチニブ+MTX併用群がプラセボ+MTX併用群およびアダリムマブ+MTXを併用した群に比べて、臨床的寛解達成率(DAS28-CRP<2.6)が有意に高いことが示されました。またベースラインからのModified Total Sharp Scoreの変化量について、ウパダシチニブ+MTX併用群がプラセボ+MTX併用群と比べて、有意差を持って抑制していることが示されました。

SELECT-MONOTHERAPYでは、MTXで効果不十分な患者さんにおいて、ウパダシチニブ単独投与群がMTX投与群と比べて、臨床的寛解達成率(DAS28-CRP<2.6)が有意に高いことが示されました。

SELECT-EARLYでは、MTX未投与の患者さんにおいて、ウパダシチニブ単独投与群がMTX投与群と比べて、臨床的寛解達成率(DAS28-CRP<2.6)が有意に高いことが示され、Modified Total Sharp Scoreの変化量についてはウパダシチニブ単独投与群がMTX併用群と比べて、有意差を持って抑制していることが示されました。

SELECT-SUNRISEでは、日本人の関節リウマチ患者さんにおいて、主要評価項目である12週時のACR20が達成され、ウパダシチニブ15mgの12週時の臨床的寛解達成率(DAS28-CRP<2.6)は57.1%でした。またACR20達成率および臨床的寛解達成率は、投与1週時からプラセボ群に対して有意差が確認されました。

安全性プロファイルについては、いずれの試験においてもこれまでに報告された結果と一致し、新たな安全性情報は確認されませんでした。

関節リウマチは、初期段階で関節の炎症に伴う腫脹や疼痛が生じた後、持続的に進行する慢性の全身炎症性自己免疫疾患です。関節リウマチを治療せずにいた場合、診断されてから1年以内に80%の患者さんに関節の損傷および症状の悪化がみられます7,8。関節の損傷は時間の経過とともに進行し、関節機能の障害を引き起こす主要な要因となり、治療せず、または適切な治療を受けなかった場合には日常生活で行う動作などが困難になる生活の質の低下を招き、最終的には死亡率の増加につながる可能性があります9,10。国内における関節リウマチの患者数は、約124万人(全人口の約1.0%)と見積もられています11。

SELECT試験プログラム1-5,12について
大規模SELECT第III相関節リウマチプログラムの6試験においては、4,900名を超える中等度から重度の関節リウマチ患者さんを対象に、さまざまな関節リウマチ患者さんにおける有効性、安全性および忍容性の評価がされています。ACR改善率、疾患活動性およびX線画像上の関節破壊進行抑制などが、重要な有効性の評価項目として設定されています。いずれの試験においても、ウパダシチニブはすべての主要評価項目および重要な副次評価項目を達成しました。最も多く発現した重篤な有害事象は、感染症でした。これらの臨床試験で得られた肯定的な最新結果は、すでに発表済みです。この試験に関する詳しい情報はwww.clinicaltrials.gov(NCT02706847、NCT03086343、NCT02629159、NCT02706873、NCT02706951、NCT02675426、)で閲覧可能です。

SELECT-SUNRISE6試験について
SELECT-SUNRISEは、日本における第IIb/III相臨床試験プログラムです。一定用量の従来型合成DMARDを服用し、十分な効果が認められなかった197名の中等度から重度の関節リウマチの日本人成人患者さんを対象に、プラセボとの比較により、ウパダシチニブの安全性および有効性を評価するためにデザインされています。この試験に関する詳しい情報はwww.clinicaltrials.gov(NCT02720523)で閲覧可能です。

日本におけるリンヴォック(R)(ウパダシチニブ)について
効能・効果
既存治療で効果不十分な関節リウマチ(関節の構造的損傷の防止を含む)

用法・用量
通常、成人にはウパダシチニブとして15mgを1日1回経口投与する。なお、患者の状態に応じて7.5mgを1日1回投与することができる。

重要な安全性情報
警告:
本剤の投与により、結核、肺炎、敗血症、ウイルス感染等による重篤な感染症の新たな発現もしくは悪化等が報告されており、本剤との関連性は明らかではないが、悪性腫瘍の発現も報告されている。本剤が疾患を完治させる薬剤でないことも含め、これらの情報を患者に十分説明し、患者が理解したことを確認した上で、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。

禁忌:
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者、重篤な感染症(敗血症等)の患者、活動性結核の患者、重度の肝機能障害を有する患者、好中球数が1000/mm3未満の患者、リンパ球数が500/mm3未満の患者、ヘモグロビン値が8g/dL未満の患者、妊婦又は妊娠している可能性のある女性には禁忌である。

重要な基本的注意:
本剤は、免疫反応に関するJAKファミリーを阻害するので、感染症に対する宿主免疫能に影響を及ぼす可能性がある。本剤の投与に際しては十分な観察を行い、感染症の発現や増悪に注意すること。

本剤投与に先立って結核に関する十分な問診及び胸部X線検査に加え、インターフェロンγ遊離試験又はツベルクリン反応検査を行い、適宜胸部CT検査等を行うことにより、結核感染の有無を確認すること。本剤投与中は胸部X線検査等の適切な検査を定期的に行うなど結核の発現には十分に注意すること。

好中球減少、リンパ球減少及びヘモグロビン減少があらわれることがあるので、投与前の検査値を測定するとともに本剤投与開始後は定期的に好中球数、リンパ球数及びヘモグロビン値を確認すること。

播種性を含む帯状疱疹等のウイルスの再活性化が報告されていることから、ヘルペスウイルス等の再活性化の徴候や症状の発現に注意すること。徴候や症状の発現が認められた場合には、患者に受診するよう説明し、本剤の投与を中断し速やかに適切な処置を行うこと。また、ヘルペスウイルス以外のウイルスの再活性化にも注意すること。

本剤によるB型肝炎ウイルスの再活性化が報告されているので、投与に先立ってB型肝炎ウイルス感染の有無を確認すること。

感染症発現のリスクを否定できないので、本剤開始直前及び投与中の生ワクチン接種は行わないこと。

悪性リンパ腫、固形癌の悪性腫瘍の発現が報告されている。本剤との因果関係は明らかではないが、悪性腫瘍の発現には注意すること。

総コレステロール、LDLコレステロール、HDLコレステロール及びトリグリセリドの上昇等の脂質検査値異常があらわれることがある。本剤投与開始後は定期的に脂質検査値を確認すること。臨床上必要と認められた場合には、脂質異常症治療薬の投与等の適切な処置を考慮すること。

トランスアミナーゼ値の上昇があらわれることがあるので、ベースラインを測定するとともに、本剤投与中は観察を十分に行うこと。トランスアミナーゼ値が基準値上限の3倍以上に上昇した症例も報告されている。

アッヴィについて
アッヴィは、グローバルな研究開発型のバイオ医薬品企業です。世界で最も複雑かつ深刻な疾患に対する、革新的な先進治療薬の開発を行っています。その専門知識、献身的な社員、イノベーション実現に向けた独自の手法を通じて、免疫疾患、がん、ウイルスおよび神経疾患の4つの主要治療領域での治療を大きく向上させることをミッションに掲げています。世界中の人々が持つ健康上の課題への解決策を進歩させるため、75カ国以上の国でアッヴィ社員が日々取り組んでいます。アッヴィの詳細については、www.abbvie.com をご覧ください。Twitterアカウント@abbvie、Facebook、LinkedInやInstagramでも情報を公開しています。

日本においては、1,200人を超える社員が、医療用医薬品の開発、輸入、製造販売に従事しています。自己免疫疾患、新生児、肝疾患、神経疾患、がんの各領域を中心に、患者さんの生活に大きく貢献できることを願っています。詳しくは、www.abbvie.co.jpをご覧ください。

アッヴィ 今後の見通しに関する記述
本リリースにおける記載には、1995年米国私募証券訴訟改革法に示される「今後の見通しに関する記述」が含まれています。「確信」「期待」「予測」「計画」という言葉およびそれに類する表現は、一般に将来予想に関する記述となります。当社からの注意喚起として、このような将来予想に関する記述はリスクおよび不確実性による影響を受け、実際の結果と将来予想に関する記述での予測との間に大幅な相違が生じる可能性があります。このようなリスクおよび不確実性には、知的財産に対する脅威、他社製品との競合、研究および開発プロセスに特有の困難、敵対的訴訟または政府による介入、業界に関連する法律および規制の変更などがあります。

アッヴィの経営に影響を及ぼす可能性のある経済、競合状況、政府、科学技術およびその他の要因については、Securities and Exchange Commission(米国証券取引委員会)に提出済みのアッヴィの2018年度アニュアルレポート(10-K書式)の1A項「リスク要因」に記載しています。アッヴィは、法律で要求される場合を除き、本リリースの発表後に発生した出来事または変化によって、今後の見通しに関する記述を更新する義務を負わないものとします。

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