100年の栄光と成功の結晶、真のグランドツアラー『コンチネンタルGTコンバーチブル』/最新スーパースポーツカー試乗レポート

 驚くべき速さと、目を見張る美しさ。スーパースポーツカーは、両者を兼ね備えた特別な存在だ。『autosport web 最新スーパースポーツカー試乗レポート』では、クルマ好きなら誰もが憧れる至高のマシンの数々の中から注目の1台をピックアップして、その走りの印象を伝えていきます。
 
 ハンドルを握るのは、モータージャーナリストの吉田拓生さん。第2回目は、ベントレーのすべてが詰まった『コンチネンタル』シリーズから、優雅さを極めたラグジュアリーオープン、『ベントレー・コンチネンタルGTコンバーチブル』を取り上げます。

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■創立100周年を迎えたベントレーとモータースポーツとの深い縁

 クルマ好きであれば、イギリスのベントレーが“超”が付くほどの高級車であることはご存じだと思う。一方、オートスポーツWEBの読者であれば、21世紀のベントレーがGT3マシンを仕立てて、世界レベルのスポーツカーレースに果敢に挑戦しているという事実もご存知のことだろう。

 2019年に創立100周年を迎えたベントレーとモータースポーツは、切っても切り離せない縁で繋がっている。戦前に5回、戦後も2003年に1回、ベントレーは都合6回ル・マンで総合優勝を果たしているからだ。

 かつてロールス・ロイスの傘下だった時代が67年間も続いたため、ベントレーには超高級車のイメージがすっかり定着している。

 しかし、ベントレーを創業したウォルター・オーウェン・ベントレーが貴族階級の出身でありながら、特に内燃機関に秀でたエンジニアだったことを考慮すれば『ベントレー=超高級』というだけでなく、最新のテクノロジーを積極的に取り入れるメイクスという表現が正しい。

■伝説の人気モデルのDNAを継承したコンチネンタルGT

 ロールス・ロイスと別れ、1998年以降フォルクスワーゲンの傘下となっている現在のベントレー・モーターズ。21世紀のベントレーのかたちを最初に示してみせたモデルこそが豪奢な2ドアクーペ、コンチネンタルGTだった。

 コンチネンタルGT誕生のきっかけとなった1台は、1950年代に登場したRタイプ・コンチネンタルというクルマだ。ロールス・ロイス傘下時代のベントレーは、バッヂ違いのモデルを販売していることがほとんどだった。

インパネの中央に設置されたローテーションディスプレイにご注目
ベントレーの内装は美しいウッドパネルや高級レザーに覆われた豪華なもの。ハンドルもレザー素材が使われている

 ところがRタイプ・コンチネンタルは、ベントレー専用の特別誂えのモデルで、世界中の王侯貴族や富豪がこぞって注文を入れる人気モデルとなった。

 伝説の1台のDNAを継承した、なだらかなファストバック・ボディを持つ2ドアクーペ。そんなコンチネンタルGTのコンセプトは見事に当たり、現行モデルは2017年に3世代目へと進化している。

 主役となるエンジンは一貫して6.0リッターのW型12気筒ツインターボで、600ps以上の最高出力を余裕たっぷりに発生させている。また21世紀のコンチネンタルは、4駆とエアサスも機能的な特徴となっており“条件さえ許せば”、333km/hの最高速まで静寂を保ったまま到達してしまう。

 コンバーチブルの幌は、イギリス伝統のツイード生地を採用しており、僅か19秒で開閉が完了する。ル・マンカーのような圧倒的な動力性能をひしひしと感じつつ、幌を開け海辺の道を流して走る。ベントレー・コンチネンタルGTコンバーティブルは、ココロにもフトコロにも余裕のある粋人のための1台なのである。

わずか19秒で、オープンにもクローズにも変化するコンチネンタルGTコンバーチブル
ルーフをクローズした状態のコンチネンタルGTコンバーチブルのサイドシルエット
ホイールのデザインにもこだわりが見えるコンチネンタルGTコンバーチブル

■ベントレー・コンチネンタルGTコンバーチブル 主要諸元

車体

全長×全幅×全高 4880mm×1965mm×1400mm

ホイールベース 2850mm

車両重量 2450kg

駆動方式 AWD

トランスミッション 8速DCT

サスペンション前/後 ダブルウイッシュボーン/マルチリンク

ブレーキ 前/後 ベンチレーテッドディスク/ベンチレーテッドディスク

タイヤサイズ 前:265/40ZR21 後:305/40ZR21

エンジン種類 W型12気筒DOHCツインターボ

総排気量 5950cc

最高出力 467kW(635ps)/6000rpm

最大トルク 900Nm(91.8kgm)/1350ー4500rpm

最高速度 333km/h

車両本体価格 2941万4000円

■Profile 吉田拓生 Takuo Yoshida

自動車雑誌の編集部を経て、2005年からフリーのモータージャーナリストとして活動をスタート。自動車、ヨット、英国製品に関する文章を執筆。現代のスポーツカーをはじめ、1970年以前のヒストリックカー、ヴィンテージ、そしてレーシングカーの試乗レポートを得意としている。

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