楽天キャリアの細部にも言及?「無料サポーター」2次募集会見の全容

今年4月に携帯キャリア事業への本格参入を目指している、楽天モバイル。1月23日には、昨年10月から5,000人を対象に実施している「無料サポータープログラム」の2次募集を開始しました。

同日に開かれた記者発表会には、多くのメディアが参加。その席では、4月以降の料金体系に対する考え方や、その発表時期などについて、断片的に類推できなくもない情報にも言及がありました。


2万人のサポーターを追加募集

今回、楽天キャリアが募集する無料サポーターは最大で2万人。対象となるのは、東京23区、大阪市、名古屋市、神戸市に在住の満18歳以上で、新規契約およびMNP(ナンバーポータビリティ)の利用者です。1次募集で抽選に外れてしまった人は、希望すれば新規応募者に優先して対象になります。

利用条件は、品質テストやアンケートに回答すること、楽天回線に対応した製品を利用すること、独自開発のRCS(リッチコミュニケーションサービス)である「楽天Link」を利用すること、という3点になります。

申し込み期間は2月3日まで。楽天モバイルのウェブサイトで申し込んだうえで、2月14日までに専用のウェブページか、恵比寿など都内3店もしくは名古屋・大阪・神戸各1店で契約を結ぶことになります。無料プログラムの利用期間は3月31日までです。

諸条件を満たしたうえで、定期的なアンケートに回答すれば、1ヵ月につき楽天ポイントが1,000ポイント付与されます。さらに、契約時に楽天回線対応製品を同時に購入すれば、1万8,000ポイントがプレゼントされます。

「プログラムを拡大することで、通信ネットワークの品質に対する意見をいただくとともに、楽天Linkも使っていただき、フィードバックをいただきたい」と、楽天モバイルの山田善久社長は狙いを語ります。

基地局整備はようやく挽回か

この日の記者発表会では、昨年10月の無料サポータープログラム開始以降の利用状況やネットワーク整備の進捗状況、新型店舗のコンセプトなどについても説明がありました。

まず、無料サポーターの利用状況については、昨年12月の平均データ通信量が15GB以上、音声通話の利用が30分以上であることが明らかになりました。総務省の調べによると、一般的なデータ通信量は月間4.1GB。これと比べると、ユーザーが頻繁にデータ通信をしていたことがわかります。

「グローバルで見れば日本はデータをあまり使っていませんが、料金体系のあり方が変われば使ってくれるのではないかと思っていました。フタを開けると、想定よりも多かった。無料ということもあるが、ユーザーも使いたいと思っていたということ」(山田社長)

利用者からは「結構つながる」「スピードも速い」といった声があった一方、「まだ一部の場所でつながりにくい」「通話が途切れる」との指摘もあったといいます。ただ、アンケート結果は月を追うごとに改善傾向にあり、「満足度は上がってきている」(同)と楽天モバイルではみています。

また、整備の遅れによって総務省から行政指導を受けた基地局の開設については、1月現在で屋外基地局数が3,020に到達。3月には、計画値の3,432局を上回る4,400局の開設が可能であるとの見込みを発表しました。

これに伴い、昨年10月時点では東京23区だけだった首都圏の自社回線カバーエリアは、今年1月には埼玉県、神奈川県、千葉県の一部にも到達。関西圏では神戸市や京都府でも電波発射を開始しているといいます。

店舗での契約は最短18分に短縮

さらに、パートナーであるKDDIとのローミングエリアの境目で通信が途切れてしまうことがあった問題については、4月をメドに接続方式を変更予定。変更前は境目で数秒間の通信ダウンが生じていますが、変更後は基地局間どうしがシームレスにつながり、通常の音声通話でも途切れなくなるといいます。

このほか、楽天モバイルの新型ショップのコンセプトも発表。独自のセキュリティシステムを採用し、ケータイ売り場では一般的になっている盗難防止の設備を排除。展示している全機種をワイヤレスにすることで、端末そのものの質感などを確かめやすくしています。

また、契約カウンターをあえて設置せず、検討客が自由に回遊できるスペースを確保。楽天IDと連携して事前に自宅などで検討している機種や料金プランを登録しておくと、店舗での契約時間を最短18分まで短縮できる態勢を整えました。

事前登録をすればショップでの契約時間は最短18分に

こうした一連の説明の後、報道陣と山田社長との質疑応答が行われました。その中には、4月のキャリア本格始動に至るまでのスケジュールについても言及がありました。以降では、質疑応答での主なやり取りをご紹介します。

本格サービスの開始はいつ?

――今回、無料サポーターを2万人追加するが、背景は?

山田社長:ネットワークを良くするために、さらに規模を拡大して、2万人でネットワークを使ってもらいたい。今回は「楽天Link」もリリースするタイミングなので、Linkを使っていただきたいという狙いもある。

――無料プログラムのユーザーはそのまま本格サービスに移行するのか。

まだ正式サービスの料金も発表していない段階。新たな契約行為として、きちんと料金プランを提示して、正式プランに契約する手続きが必要。自動移行ではないが、できるだけ移行してもらいたい。

――3月に無料プログラムが終わる。ということは、4月1日に本格サービスが始まる?

詳細が決まっていない。4月1日のサービス開始は確定していない。もし4月1日でない場合は、おそらく無料サポータープログラムを正式サービス開始の日程まで延長することになる。いずれにせよ、ユーザーに迷惑をかけてはいけない。

――正式サービス開始までの課題は?

先月の通信障害のようなことがないよう、万全のテストをやってきたが、さらに過負荷試験を追加してやっていくことが重要。

――過負荷試験はどういう形になるのか。無料サポーターが何らかの対応を求められるのか。

今回の2万人や前回も合わせた2万5,000人に「作業してください」と言うことはない。過負荷試験は当社のラボでテストする。テスト項目も見直して、さらに追加するのが基本。

5,000人いると、通常では思いつかない、さまざまな使い方をする人もいる。これが2万人になると、さらにいろいろなケースがある。そうしたコーナーケースがカバーされる可能性も増える。特に「こういうことをしてください」とお願いするつもりはないが、数が増えると課題解決につながる。

なぜ基地局整備が遅れていたのか

――行政指導を受けたように、基地局の開設は8月までは遅れていたのか。どういう原因があって、どうクリアして、現在は挽回しているのか。

一言では言えないが、進んでいる時期もあれば、そうでない時期もあった。現在は基地局の建設が順調。一番大きな要因は、楽天グループ全体の事業として、楽天市場、楽天証券からも数百名が応援に来てくれていること。ビルオーナーとの交渉などをいろいろなことをやってもらっている。

楽天グループには役員が何十人もいる。それぞれに担当エリアを割り振って、モバイルでない役員にも「このエリアの担当だから、ビルオーナーを見つけてください」とお願いしている。総力を挙げて、基地局建設を進めたこともあって、足元では基地局建設は着実に順調にいっている。3月の4,400局はきちんと行ける。

基地局の開設状況

――つまり、基地局整備が遅れていたのは場所の問題?

それが一番大きい。工事の段取りが思ったほど進まなかったり、工事会社のリソースが逼迫したことも大きかった。

――KDDIからローミングの約款が発表されていて、1GB当たり500円。借りる値段が高いが、楽天の価格体系は安くするのが難しくなるのか。それとも、逆ザヤ覚悟で安くするのか。

それは(実際の料金体系を)見てのお楽しみ。基本的には、参入する意義は低廉な価格というところが大きい。できるだけインパクトのある数字は出さないといけないと思っている。

――基地局の設備投資額は、当初の予定から比較して、どうなのか。

コスト的にはいろいろなデコボコはあるが、想定内。建設コストがすごく上振れしているわけではない。

料金プランの発表はまもなく?

――事前登録すると最短18分で契約。しかし、事前登録するような人はウェブだけで完結できれば良いはず。ウェブだけで契約を完了できるのか。

もちろん、初回の無料サポータープログラムはウェブでの契約だけだった。ウェブだけで完了できる。事前登録したうえで来店する人は、最後にスタッフに聞いてみたかったり、実際の端末を手に取りたい人。

他社だとウェブだけで買う人は多くないが、もともとはEC(ネット通販)で始まった会社なので、楽天としては押していきたい。一方で、最後に端末を手に取りたい人もいるので、「ウェブだけです」というのは不便。お店もやっているし、ミックスみたいな人もいる。

専用端末「Rakuten Mini」は当面、ナイトブラックとクールホワイトの2色展開

――料金プランはいつ発表するのか。

あまり細かくは言えないが、4月に開始するので、その前に十分な時間を持って発表する。そうなると、そんなに時間がないが……。直前ではなく、前もって発表したい。普通は1ヵ月くらい必要かと思うが、明言はできない。

――iPhoneの扱いはあるか。

iPhoneについてはノーコメント。

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