性適合手術受け軍を除隊に 韓国兵士、撤回求め提訴へ

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韓国軍は22日、男性として入隊後に性別適合手術を受けたトランスジェンダー女性の兵士について、規則違反を理由に除隊処分にした。女性は、処分撤回を求めて提訴するという。

2017年に入隊したピョン・ヒスさん(22)は、性同一性障害やメンタルヘルスの問題を抱えていた。そのため昨年11月、タイで性別適合手術を受けた。

ピョンさんは今回の処分について、韓国軍には性的マイノリティー(LGBT)に対する「根深い不寛容さ」があると訴えた。

性的アイデンティティーに関して保守的な韓国では、ピョンさんの除隊処分が、LGBTの人々だけでなく、トランスジェンダー兵士の処遇をめぐる議論へと発展している。

韓国では、健康な男性に約2年間の兵役が義務づけられている。

女性として服務継続を希望

ピョンさんは22日、記者会見に臨み、今後も女性兵士として服務の継続を望んでいると述べた。

「私は、服務を継続できる日が来るまで戦い続けます。軍の決定に抗議します。最後まで、最高裁まで」

ピョンさんによると、もともとは性別適合手術を受ける予定はなかったが、メンタルヘルスの問題で受診した軍の病院の医師から手術を勧められた。

心と体の性が一致しないという苦悩から、精神面に支障をきたしていると説明を受けたという。

「自分の性的アイデンティティーを軍に伝えるという決断は、非常に難しいものでした。ですが、伝えたことで気持ちは随分よくなりました」

ピョンさんは、「服務を完了してから手術を受け、女性兵士として再度入隊しようと考えていました。しかし、うつ病の症状がかなり悪化してしまいました」と付け加えた。

「LGBTのロールモデルに」と言われるも…

ピョンさんによると、複数の上官が病室を訪れ、治療が終わったあとの配属先について話をした。また、上官は、ピョンさんは軍内のLGBTの人々のロールモデルになれるかもしれないと示唆していたという。

そのため、強制的な除隊は想定していなかったとピョンさんは述べた。

「自分の性的アイデンティティーは別として、私は自分がこの国を守る素晴らしい兵士の1人になれるということを、みんなに示したい」

軍の主張

韓国軍は、「服務継続は不可能」と判断したとしている。

韓国国防省の報道官はAFP通信に対し、ピョンさんは軍の病院で検査を受け、男性器が無くなっていたため、精神的または身体的なハンディキャップがあるとされたと説明。

この検査結果を受け、審査委員会はピョンさんの今後について協議したという。軍には、トランスジェンダー兵士の服務に関する規定はない。

軍は声明で、「不当な差別や待遇」を回避するためだったとしている。

しかし、韓国の人権団体「軍人権センター」リム・テフン氏は、除隊処分が下されたその日のうちにピョンさんは除隊されていることから、まれなケースだと指摘。

通常は、除隊処分の決定から実際に除隊されるまで、最長3カ月ほどの期間が設けられるという。

つまり、ピョンさんが自分の所属部隊と連絡を取ることを、軍が望んでいなかった可能性があると、リムさんは述べた。

事情を知るある軍当局者はロイター通信に対し、ピョンさんが法律上女性となり、女性兵士として再志願すれば、軍がピョンさんを拒否する理由はないはずだと述べた。

韓国のトランスジェンダーへの受け止め方

韓国では、LGBTは障害や精神疾患、あるいは保守的なキリスト教徒からは罪だとみなされることが多い。同国には差別禁止法はない。

反LGBT派の活動家は、オンライン上でピョンさんの身元を特定しようとしたり、除隊を求めるデモ活動を行った。

ピョンさんを支持する人権団体からは、今回の一件で軍のイメージが悪くなったとの声が上がった。

しかし、BBC韓国語のヒョンウン・キム記者によると、ゆっくりではあるが、LGBTパレードなどのイベントが台頭し、国内の受け止め方は変化しつつあるという。

人権団体は過去に、ゲイの兵士の性行為の禁止をめぐり、懸念を表明していた。韓国の軍刑事法は、同性同士の性行為を最大2年間の禁錮刑に処するとしている。市民生活においては、同性間の性行為は違法ではない。

他国のトランスジェンダー兵士は

アメリカでは、以前まではトランスジェンダーの入隊は可能だったが、昨年1月、米連邦最高裁判はトランスジェンダーの入隊禁止を認める決定を下した。

ドナルド・トランプ大統領は2017年、「とてつもない医療コストと混乱」が入隊拒否を決めた理由だとツイートした。

複数の非営利団体によると、米軍には9000人近いトランスジェンダーの現役兵士がいるという。

トランスジェンダーであることを公にしている人々の軍入隊を認める方針は、オバマ政権下の2016年6月、当時の国防長官アッシュ・カーター氏が発表した。

方針には、軍ですでに勤務する人々が性転換を希望した場合の医療支援も含まれていた。

イギリス軍では、トランスジェンダーであることを隠さず軍務に就くことができる。昨年6月、トランスジェンダーの元兵士に対し、軍内のLGBTコミュニティーに貢献したとして勲章が授与された。

オーストラリア、カナダ、ニュージーランド、イスラエル、ボリビアなどでも、トランスジェンダー兵士を受け入れている。

(英語記事 Transgender soldier to sue military over dismissal