クルーズ船事業拡大へ ジャパネットHD 売り上げ 年100億円目指す

今年、日本初就航となるMSCベリッシマ(MSCクルーズ提供)

 通販大手ジャパネットホールディングス(HD、長崎県佐世保市)は、クルーズ船事業を拡大させる。2020年は日本初就航となる「MSCベリッシマ」(17万1千トン)を貸し切り、日本一周など2コースで計8回運航。19年(6回)より運航回数を増やし、船も大型化するため、クルーズ事業の売り上げは初めて年間100億円の突破を見込む。21年は10回以上の運航を目指し、さらなる発展を図る。

 事業を担う子会社のジャパネットサービスイノベーション(東京)によると、ベリッシマは欧州最大のクルーズ会社、MSCクルーズが建造した。約2200客室あり、これまでのMSCスプレンディダ(13万8千トン)より、千人ほど多く乗船できる。船内ではサーカス劇団「シルク・ドゥ・ソレイユ」の公演もある。
 2020年は高知や秋田、函館などを巡る日本一周を5回、那覇や宮古島を巡る南国コースを3回運航。いずれも横浜発着で10日間の旅程。1人30万円前後の価格帯別がよく売れているという。
 ジャパネットグループは、2017年からクルーズ船をチャーターした旅行商品を販売。船内での食事を日本人の口に合うよう改善したり、寄港地では無料シャトルバスやオプショナルツアーを用意したりして、サービス面の工夫を重ねてきた。
 2019年は6回全て完売。全体の1割程度をリピーターが占めるようになった。これまでは日本一周だけだったが、要望が多かったため南国コースを設けた。
 2021年は日本一周を2ルート設け、南国と合わせて3コースでの運航を想定。現在、寄港地選定を進めており、佐世保への寄港も検討している。
 ジャパネットサービスイノベーションの茨木智設社長は「繰り返し利用してもらうためには、品質の担保が求められる。リピーター率はその指標になる」と強調する。今後は、欧州周遊などのフライ&クルーズや高級感のある船旅など、顧客の選択肢を増やす取り組みにも力を入れる。
 船内での接客は自社の従業員が担っており、事業拡大に合わせて人材育成も強化する方針。茨木社長は「初めての船旅で嫌な思いをすれば、二度と利用しない。それを提供する責任は大きい。接客サービスは通販事業になかった分野。大学や専門学校などと連携して、おもてなしの社員教育も進めたい」と語った。

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