健康ひろば(1)

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■和歌山県立医科大学附属病院紀北分院
◇心不全のエピローグ

心不全は、いろいろな心疾患が悪くなった時に現れる症状です。従って、心不全の原因はさまざまです。心不全の主な症状には、息切れと浮腫(むくみ)があります。息切れは肺の病気や、ひどい貧血でも起こりますし、浮腫は低栄養や腎臓病でも起こります。このような症状が起こった場合は、病院で詳しく調べてもらいましょう。心臓病による息切れや浮腫は徐々に起こるため、自分自身では気が付かないことがあります。今まで休憩せずに行けたスーパーまで、休まないと行けなくなったり、少し動くだけで「ゼーゼー」いったりします。心不全では、息切れと浮腫が一緒に起こることが多いですが、浮腫がひどくなると体重が急に増えます。2、3日で体重が3kg太った場合などは注意しましょう。

心不全を起こす心臓の病気としては、心筋梗塞、弁膜症、心筋症などがあります。心筋梗塞は、強い胸痛が起こり、ほとんどの方は入院して治療をしているので、退院時にどの程度動いたらいいかなど聞かれていると思います。一方、弁膜症や心筋症は病気になっているかどうか自分では分からないこともあります。弁膜症の原因はさまざまです。戦後よくみられたリウマチ熱は溶連菌による感染症で小児期に発症しますが、最近ではしっかり治療されるため弁膜症になる方はほとんどいません。

最近、弁膜症が増えてきた原因としては動脈硬化があります。動脈硬化により心臓の出口にある大動脈弁が硬くなり開きにくくなります。高齢者、とくに動脈硬化が強い人では弁が非常に狭くなり、心不全が起こります。自分自身では気が付かないことが多いため、動くと息切れがする場合には循環器内科で心エコーをしてもらうことが必要です。動脈硬化による大動脈弁狭窄は毎年、少しずつ進行しますので、経過をみてもらうことも重要です。

心筋症は大きく分けて2種類あります。肥大型心筋症と拡張型心筋症です。肥大型心筋症は心臓の壁が厚くなる病気です。心筋が厚くなり過ぎると心臓の働きが悪くなります。逆に拡張型心筋症は心臓の壁が薄くなる病気ですが、この場合も心臓の働きが低下します。これ以外にも、脈が速くなる不整脈も心不全の原因になります。脈が速くなる不整脈には、心房細動や上室性心拍という病気があります。病気の詳しい話は、別の機会にしたいと思いますが、脈拍が120拍/分以上で長時間持続すると心不全の原因になります。このようなときには、甲状腺の病気が背景にあることもありますので、詳しく調べてもらいましょう。病気の原因によって薬を選択することになります。

心不全の時には、塩分制限、水分制限が重要です。塩分の摂取量は1日7g以下が推奨されています。過度の水分摂取も控えた方が良いです。お風呂も少し低い温度にし、入浴時間も短めがお勧めです。心不全の場合、軽い運動は心不全を改善しますが、強い運動は避けた方が良いです。どの程度の運動が出来るかは、主治医とご相談下さい。治療薬としては、利尿薬(尿を出す薬)と心臓の働きを休めるβ(ベータ)遮断薬や心臓の筋肉の状態を改善し血管を広げるアンジオテンシン変換酵素阻害薬などがあります。これらの薬剤の使用方法は状態に応じて調整が必要ですのでよく主治医とご相談下さい。

内科 特別顧問
羽野 卓三