佐世保市立小中学校 3学期制に 2022年度から 長崎県内2学期制消える

 佐世保市教委は23日、定例教育委員会を開き、市立小中学校の学期制について審議。2022年度に、現行の2学期制から3学期制に変更する方針を決めた。同じく2学期制を導入していた大村市は20年度から3学期制に戻す予定。県内で2学期制を全面実施する自治体はなくなる見通し。

 佐世保市は、学力向上などを目的として2006年度にすべての市立小中学校で2学期制を導入。1年間を前期(4月~10月第2月曜)と後期(10月第2月曜の翌日~3月)に分けてきた。
 3学期制に戻す理由について市教委は「確かな学力の育成という当初の目標が達成されたという評価に至らなかった」と説明。通知表での年3回の評価など保護者に3学期制を望む声が多く、2学期制に取り組む自治体が佐世保市だけとなることから「2学期制が最良の制度とは言えない」と提案した。
 教育委員からは、子どもが課題を明確に把握して勉強ができることなどを理由に賛成する意見が上がる一方、新学習指導要領など学校現場が大きく変わる中での学期制変更に懸念を示す声も出た。賛成多数で可決した。
 市教委は今春にも、教員や学識経験者、保護者などでつくる準備委員会(仮称)をつくる予定。教員の作成負担を軽減できる通知表や学校行事の在り方を検討し、円滑な導入と制度の周知を図る。西本眞也教育長は「大変重い決断。今まで通り心の教育をしっかり行い、新しい指導要領で求められる学力を付けさせたい」とした。
 学期制を巡っては、市教委は2018年、望ましい学期制の在り方を「市学校学期制検討委員会」に諮問。2019年8月の答申では、子どもと向き合う時間の増加など一定の効果はあったが、全国学力テストで全国平均を下回る状況が続くなど学力向上の効果が立証できなかったと指摘していた。朝長則男市長は12月に開かれた市の総合教育会議で、3学期制への変更を検討するよう提案していた。

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